EXHIBITIONS

Open Storage 2021 -拡張する収蔵庫-

MASK[MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA]
2021.10.16 - 11.14

撮影=仲川あい

 一般財団法人おおさか創造千島財団(大阪市住之江区)は、広大な鋼材加工工場・倉庫跡地を活用した「MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)」で保管する大型アート作品の一般公開「Open Storage 2021 -拡張する収蔵庫-」を開催。会期は、2021年10月16、17、23、24、30、31日、11月3、6、7、12、13、14日の計12日間(11月12~14日はクロージングイベント参加者のみ入場可)。

 8度目の一般公開となる今年は、国際的に活躍する現代美術作家6名、宇治野宗輝、金氏徹平、久保田弘成、名和晃平、やなぎみわ、ヤノベケンジの作品展示とともに、公募により選出された気鋭のアーティスト・持田敦子が新作を発表する。

 持田敦子は東京都出身、2018年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。同年、バウハウス大学ワイマール大学院Public Art and New Artistic Strategies修了。18〜19年にかけて、平成30年度ポーラ美術振興財団在外研修員としてドイツ、シンガポールにて研修。プライベートとパブリックの境界にゆらぎを与えるように、既存の空間や建物に、壁面や階段などの仮設性と異物感の強い要素を挿入し、空間の意味や質を変容させることを得意とする。

 今回持田は、MASKの「見せる収蔵庫」としての場所のコンセプトや、他作家の収蔵作品、工場・倉庫跡ならではの建築的構造、大阪の工業エリアという地域性といった諸要件に多面的に対峙。北加賀屋を拠点とする建築ユニット・dot architectsの協力のもと、これまで開かずの扉だったシャッター面を活用し、MASKに新しい入口を「拓く」ことを作品によって試行するという、既存の枠組みを超越するダイナミックな挑戦となる。

 本展キュレーションには、木ノ下智恵子(大阪大学准教授)が協力。クロージングイベントでは、開館当初に収蔵されたMASKのシンボル的な作品であるヤノベケンジの《ジャイアント・トらやん》のファイヤーパフォーマンスと、ゲストを迎えてのスペシャルトークイベントを行う。その他会期中には、関連プログラムも多数予定している。詳細は公式ウェブサイトをチェックしてほしい。

 会場となるMASKは、床面積約1030平米(52.5×19.5メートル)、高さ9.25メートルの鋼材加工工場・倉庫跡地を改装したホワイトキューブ(展示スペース)と簡易レジデンスを併設。各地の芸術祭などに出展された大型の現代美術作品は、保管場所の確保が難しく、会期終了後に解体や廃棄を余儀なくされるケースが多い。このような状況に一石を投じ、大阪の創造環境の向上に寄与したいとの思いから、おおさか創造千島財団が、大型作品を無償で保管・展示する場として2012年より運営している。