3年に一度、トリエンナーレ形式で開催している全国公募の展覧会「山本鼎版画大賞展」は、日本の近代版画の礎を築いた山本鼎(1882〜1946)の名を冠した展覧会で、1999年より開催されている。8回目となる今年は、新型コロナウイルスの影響により、当初予定していた2020年から延期となり、今年改めて作品を募集した。
10月9日から始まる「第8回山本鼎版画大賞展」では、「版による表現」を条件として、国内各地から応募された303点から選ばれた156点が一堂に展示される。
大賞を受賞したのは芦川瑞季《親和力》だ。芦川は武蔵野美術大学に在籍する学生で、幾つものイメージやモチーフを異なるタッチで描き分けながらもひとつの版で表現することに挑んだ、独創性にあふれる作品として評価された。
今回は、初めて画像審査を導入。応募条件にも画像データの提出が求めれれ、ウェブによる応募も可能となったことにより、前回に比して若年層の応募が増加。準大賞以下も20、30代の若手作家の活躍が多くみられた。
なお、本展と同時に「山本鼎版画大賞展 歴代受賞作品展」も開催。1999年の第1回から2018年の第7回までの大賞・準大賞作品を展示する。歴代受賞作には、朴再英や八木文子、村上早など、現在活躍する作家の初期作品も含まれ、約20年の受賞作品から「現代版画」の変容を見ることができる。