9回目を迎えるBIWAKOビエンナーレ。今年は近江八幡と彦根の街を舞台に壮大なスケールで開催

滋賀・近江八幡の旧市街を舞台に2001年から始まった「BIWAKOビエンナーレ」。9回目の開催を迎える今年は新たに彦根エリアも加わり、国内外約60組のアーティストと市民により開催される。会期は2020年10月10日〜11月23日。

田中悠 a bag containing something 2018

 2001年より始まり、今年で9回目の開催を迎える「BIWAKOビエンナーレ」。今年はこれまでの近江八幡エリアに加え、新たに彦根エリアも会場となり、国内外約60組のアーティストと市民により開催される。会期は2020年10月10日〜11月23日。

circle side edge type [35°8'27.4"N 136°5'30.4"E 2018
赤松音呂 Chozumaki(チョウズマキ) 2017

 BIWAKOビエンナーレは01年、滋賀・大津の琵琶湖岸のびわ湖ホールとその周辺の公園で始まり、公共空間における作品展示やコンサートの開催は、街なかでのアート展示のさきがけとなった。03年以降は開催拠点を近江八幡に移し、旧市街地の伝統的な建造物、江戸や明治の頃から残る空き町家、造り酒屋や醤油蔵だった建物などを会場としている。

 今年は国宝・彦根城を擁する武家の町・彦根も加わったBIWAKOビエンナーレ。テーマを「森羅万象~COSMIC DANCE~」として、さらに壮大なスケールで開催される。近江八幡市や彦根市の街を散策しながら国内外のアーティスト約60組の現代アート作品を鑑賞可能。さらに、子供を対象としたアーティストによるワークショップやイベント、アーティストトーク、コンサートなど多彩なイベントも実施される。

 展示場所となる各建築は、地域固有の文化を特徴付ける貴重な財産であり、同ビエンナーレはその保存と継承の活路を、アートに見出そうとする試みにもなっている。長年、放置されていた建物を、地元住民や日本全国の有志の手で清掃。国内外より集まるアーティストの手により、作品とともに忘れ去られていた建物の魅力を再発見することができる。

ガブリエラ・モラウェッツ Manggha museum 2020
シャルロット・ユレンハマー Sitting Giant 2019
コシノヒロコ×サークルサイドによる作品(2019)

 今年から新たに加わった彦根エリアでは、昨年140年の歴史に幕を下ろした歴史ある銭湯「山の湯」で、江頭誠が毛布の作品を制作。

 また、銀座商店街の元ノムラ文具店では君平による瘧(三日熱マラリア)をモチーフとした作品を展示。彦根城の外堀が埋められるに至った戦後の彦根市の歴史的なストーリーや、文化遺産、生物多様性など多角的な視点による資料展示も実施する。

江頭誠 ブランケットが薔薇でいっぱいⅢ 2018
パンチョ・キリシ anpther THRU story 2018

 近江八幡エリアでは、元西勝酒造の建物を使った「まちや倶楽部」では、市川平の《バオバブ・プランテーション》(2000)を、伝統的な町家の「カネ吉別邸」では、トーマス・フォイエルスタインの彫刻作品を展示する。

 また、スウェーデン在住の作曲家・林イグネル小百合と、サンフランシスコ在住のランドスケープデザイナー・saihoのふたりのコラボレーションにより、暗闇に曼珠沙華が咲き乱れる音と光に彩られた幻象の庭が表現される。

市川平 バオバブ・プランテーション 2000
伊藤幸久 ヘルメスかタナトス 2012

 さらに、 旧扇吉もろみ倉では京都大学学際融合教育研究推進センター・芸術と科学のリエゾンライトユニットの湊丈幸・松浦友也が、音楽ユニットでもあるAWAYAとコラボレーション。原始と霧、音が織りなす空間がつくり出される。

 また、瑞龍寺ロープウェイに乗ることで、八幡山山頂展望館・御所門跡の山頂にある会場を訪れることも可能。アートと山頂からのすばらしい眺望のコラボレーションを満喫できる。

 参加アーティストは江頭誠、君平、コシノヒロコ.circle side、井上剛、saiho、林イグネル小百合、野田拓真、トーマス・フォイエルスタイン、ガブリエラ・モラウェッツなど。  

 街と一体となったアートを楽しむことができるBIWAKOビエンナーレ。この秋、近江八幡や彦根の街の建築や文化に触れながら、作品を心ゆくまで楽しんでみてはいかがだろうか。

河合晋平 マガサノアプラス 2018
小曽川瑠那 Accumulated Memory 記憶のなりたち 2008
池原悠太 幻視 2016

編集部

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