「アクリルガッシュビエンナーレ」とは、2016年にスタートした公募展。日本国内のみならず海外からも作品を募集し、年齢・経験の有無は問わず、アクリルガッシュまたはアクリル絵具を使用した作品を対象としている。受賞作品には賞金や副賞が贈られるほか、入選以上の受賞作品は2019年2月に東京・豊島区のターナーギャラリーの受賞作品展で作品展示を行うことができる。
応募期間は10月1日~12月4日(消印有効)。審査員を務めるO JUN、三潴末雄、岩渕貞哉の言葉を紹介する。
O JUN(美術家、東京藝術大学教授) すべてを疑い、昨日までの自分にほとほと飽きろ
最近コンペの数も増えて、応募する方も審査する方も同じ顔ぶれで、果たしてこのような洗濯機の中のような状況から新しい才能や資質が見つけられるのか?
それでも今回審査を引受けたのは「もしかして?」の一縷にすがる思いがあるから。極端なことをあえて言わせてもらえば、いま黙っていても聞こえてくる情報や繰り返される言葉や物語を下敷きに絵を描くな。自分の引く線、打つ点、面の塗り方全部疑え。昨日までの自分にほとほと飽きろ。それで描いた絵が入選するかどうかはわからない、でもその絵から、もう一枚!描こうという気持ちが起きるだろう。そっちが大事。
三潴末雄(ミヅマアートギャラリー代表) 小さくまとまっていない、思い切りが良く、大胆な作品に出会いたい
2016年の「アクリルガッシュ ビエンナーレ」に続き、2018年度も審査員として参加することになりました。前回は技術的に凝り過ぎたり、小ぶりにまとめたり、独りよがりの作品が多かった印象でした。未熟で実験的な作品でも構わない。思い切りの良い、大胆な作品を見たいと思います。
私は作品を通して、見知らぬ世界に誘われたいと常に願っております。応募された多数の作品の山の中から可能性のある原石に出会えたら嬉しいです。
岩渕貞哉(『美術手帖』編集長) 受賞をゴールにせず、作家としてのステップにつなげてほしい
このアワードは、作品を私たち審査員含め多くの人に見てもらうためのきっかけにすぎない。
大賞を受賞しても次につながらないかもしれないし、入選でもそれを手がかりに将来のチャンスをつかむ人もいるだろう。受賞をゴールにせずに、自分にとって機会が作品制作や作家としてのステップにどうつながるか、よくよく考えて応募してもらいたい。こちらも真剣勝負で応えます。出会いたいです。そして、そういった「場」をつくりだせるようなコンペを目指しています。