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最終回を迎えた「温泉大作戦」。ギャラリー同士の連携によって生み出されるエネルギー

2022年に初めて開催された国内外のギャラリーが共同で展覧会を行うイベント「温泉大作戦」。今年は再びかつ最後の開催を迎えた同イベントが、アートシーンにどのような意義をもたらすのか。企画者たちへの取材を通じて紹介する。

文=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部)

MISAKO & ROSENがKristina Kite(ロサンゼルス、アメリカ)、Empty Gallery(香港)と共同で開催している展覧会の展示風景Courtesy of the artists, Kristina Kite, Empty gallery and MISAKO & ROSEN

 4月の第1週、国内外から集まった60人以上のギャラリストを乗せた2台のバスが、東京から熱海まで温泉旅行に出かけた。1泊2日の旅で、ギャラリストたちは熱海の温泉ホテルでローマ風の風呂を楽しんだり、昭和風の宴会場で浴衣姿で盃を交わしながら歓談したり、あるいはカラオケで歌ったり卓球を楽しんだりした。これが、4月6日から約2週間にわたって開催されているイベント「温泉大作戦  The Final!!」のウォーミングアップだった。

 このイベントは、2020年3月に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響により延期となり22年9月に初めて開催。これまで世界中で開催されたコンドやヴィラ・プロジェクトなどのイベントにインスピレーションを受け、東京のギャラリーがホストとなり、海外ギャラリーとともに展覧会を行うものとなる。そして、ギャラリーでの展示の開幕に先立ち、ホストとゲストギャラリーが温泉旅行に出かけ、カンファレンスや懇親会を行うのが同イベントならではの特徴だ。

 2022年の初回には、東京の12ギャラリーが参加して海外ギャラリーをホスト。しかし、コロナによる渡航制限が完全に解除されていなかったため、一部の海外ギャラリーしか来日することができなかった。そこで、前回来日できなかったギャラリーからの要望にも応え、当初1回のみの開催予定だったこのイベントは今年、「The Final!!」というかたちで再度開催を迎えた。

 今年のホストギャラリーは14軒で、ゲストギャラリーは23軒と前回より微増。同イベントを企画したのは、COBRA(XYZ collective)とローゼン美沙子&ジェフリー夫妻(MISAKO & ROSEN)。ローゼン・ジェフリーは、「温泉や銭湯に行くのが好き」「楽しくリラックスして、ストレスを感じないような場所に同僚たちを集める」というシンプルなアイディアからこのイベントを発想したという。

熱海の温泉ホテルで行われた懇親会の様子 写真提供=MISAKO & ROSEN

 また美沙子は、日本の企業がよく企画する社員の団体旅行にヒントを得ており、様々な地域からのアート仲間たちが旅行中に出会い、新しいアイディアやつながりが生まれることを期待して同イベントを企画したと付け加える。

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