アメリカの投資家でありアートコレクターでもあったアン・ヘンドリックス・バス(1941〜2020)のコレクションから、ドガ、モネ、ロスコなど19世紀〜20世紀を代表するアーティストの作品12点が、5月にクリスティーズ・ニューヨークで開催されるオークションに出品される。合計予想落札価格は2億5000万ドル以上(約310億円)。
バスのニューヨーク自宅の玄関で飾られていたのは、エドガー・ドガのブロンズ像《Petite danseuse de quatorze ans》とバルテュスの絵画《Jeune fille à la fenêtre》。いずれも若い女性を描いた作品で、それぞれの予想落札価格は2000万ドル〜3000万ドル(約25億円〜37億円)と400万ドル〜600万ドル(約5億円〜7億円)。
リビングルームに並んでいたマーク・ロスコの大作《Untitled(Shades of Red)》と《No. 1》は、同セールのハイライトとして出品。それぞれ6000万ドル〜8000万ドル(約74億円〜99億円)と4500万ドル〜6500万ドル(約56億円〜81億円)と推定されている。
隣の部屋にあったモネの《Le Parlement, soleil couchant》は推定4000万ドル〜6000万ドル(約50億円〜74億円)の価格で出品。ダイニングルームで飾られていた3点のモネの絵画《Nymphéas》(3500万ドル〜5500万ドル)《Peupliers au bord de l'Epte, automne》(3000万ドル〜5000万ドル)《Le Parlement, soleil couchant》も高額な予想価格で出品される。
クリスティーズは声明文で、バス夫人は「男性コレクターが支配的なこの世界で、深い厳密さと個人的な視点、そして優れた情報収集眼と女性の視点によって形成された名画のコレクションを築き上げた」とし、「芸術の時代を超えた挑発的な対話、すなわち2世紀にわたる詩的なコール&レスポンスを反映した方法で、(コレクションを)自宅に展示した」とコメントしている。
クリスティーズの印象派と近代美術の責任者であるマックス・カーターは、バスのコレクションは「完全な芸術作品だ」と評しつつ、「19世紀と20世紀、かたちと抽象性、スタイルと思想の最高峰を象徴し、その架け橋ともなっている」と述べている。