クリスティーズ現代美術部門の元責任者であるロイック・グゼールが今夏新たに設立したNFTの取引を行う会社「Particle」。
同社は、既存の美術作品の所有権を「パーティクル」と呼ばれるNFTの集合体1万個に変換して分断することで、数千人が特定の作品の所有権を共有できるようにするもの。その第1弾のプロジェクトとして、今年5月のサザビーズにて1290万ドルで落札したバンクシーの《Love Is in the Air》を1万個のNFTに分割し、それぞれの部分をユニークなパーティクルで販売する。
販売期間は2022年1月10日からの4日間で、各パーティクルの価格は約1500ドル。販売されたパーティクルは他のNFTマーケットプレイスでふたたび流通することも可能だという。
物理的な作品は、作品の管理・保存・展示を行う非営利団体「Particle Foundation」で恒久的なコレクションとして収蔵。また、個人がすべてのパーティクルを買い占めることを防ぐため、同団体は1パーセントのパーティクルを所有し、パーティクルの再販による収益の一部も同団体に還元されるという。
同社の共同設立者であるシンゴ・ラヴィーンは声明文で、「Particleは、独自のプロセスにより、作品を壊すことなくデジタル化することを実現している。NFTは、これまで存在し得なかった新たな所有形態を可能にするもの。Particleを使えば、誰でも、どこにいても、素晴らしい作品のオーナーになることができる」とコメント。
また、Particle Foundationのディレクターであるシャーロット・アイタンは、「私たちにとって重要なのは、芸術作品を実際に手に取って楽しむことだ。《Love is in the Air》をはじめ、その後に購入したすべての作品をParticle Foundationに預けることで、作品が永遠に保存され、誰もが楽しめるようになることを保証できる」と語っている。