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2017.11.29

名門ロックフェラーのコレクション、クリスティーズで競売へ。
売却益はすべて寄付

ペギー&デイヴィッド・ロックフェラー夫妻の美術品コレクションから、選りすぐられた名品の数々がクリスティーズで競売にかけられることがわかった。オークションで発生する売却益はすべて慈善団体に寄付される。

クロード・モネ 睡蓮 1914-1917 © Christie’s Images Limited 2017

 世界を代表する名門一族として知られるロックフェラー家。同家のペギー&デイヴィッド・ロックフェラー夫妻の美術品コレクションから、選りすぐられた名品の数々が、クリスティーズニューヨークでオークションにかけられることが発表された。

 同セールは、「所有した富の大半をデイヴィッドとペギー・ロックフェラーが長い年月をかけて支援して来た文化、教育、医療、環境に資する慈善事業に寄付をする」という故人が生前残した誓約に基づき、開催されるもの。コレクションの全売却益は、ロックフェラー家が何十年も関わり続けた慈善事業のために、ロックフェラー夫妻が自ら選んだ慈善団体(ハーバード大学、ニューヨーク近代美術館など)に寄付される。

 注目の出品作には、パブロ・ピカソの「バラ色の時代」の《花かごを持つ女性》(予想落札価格=7000万ドル前後/約78億5000万円)をはじめ、アンリ・マティスの作品の最高落札額記録を塗り替えると予想される、横たわる裸婦を描いた1923年の《マグノリアとオダリスク》(予想落札価格=5000万ドル前後/約56億円)、1914~1917年頃に描かれたモネの《睡蓮》(予想落札価格=3500万ドル前後/約40億円)など、印象派近代絵画の傑作が含まれる。

 このほか、中国の「金銅阿弥陀仏座像」(予想落札価格=40万〜60万ドル/約4480万~6720万円)、ナポレオンI世のためにセーヴル王立磁気製作所でつくられた「マルリー・ルージュ」のデザートサービスセットから選ばれた一式(予想落札価格=15万~25万ドル/約1680万~2800万円)などもラインナップ。西洋美術以外に、ヨーロッパ家具、アジア美術、ヨーロッパの陶磁器や中国の輸出陶磁器、銀器、アメリカ装飾美術と家具など、ロックフェラー家に代々受け継がれた名品の数々が並ぶ。

 コレクションのプレビューは、香港を皮切りに今後世界各地で順次公開。クリスティーズ・アメリカの会長、マーク・ポーターは「アジアでグローバルツアーがスタートすることは、ジョン・D・ロックフェラーSr.が1863年に中国で最初に慈善事業に寄与して以来、ロックフェラー家が長きにわたり、アジア地域にも注力し慈善事業を行ってきた事実に添うものです。今後、ニューヨークで来春開催されるオークションに先立ち、コレクションからさらに多くのハイライトを皆様にご紹介できることを、楽しみにしております」とコメントしている。

 なお、これまでにオークションで取り扱われたもっとも高額な美術コレクションは、2009年にクリスティーズ・パリで行われた「イヴ・サンローランとピエール・ベルジェ」のコレクションで、当時として4億ドル(約448億円)以上の記録が樹立されている。今回のロックフェラーコレクションがこれを上回るのかどうか、その結果に大きな注目が集まる。