2017.11.20

普賢菩薩像から若冲、劉生まで。
日本美術のつながりを読み解く特別展「名作誕生」が18年春に開催

日本美術史上に数多く存在する「名作」。それら作品同士のつながりに着目する展覧会「つながる日本美術—名作誕生」が2018年春に東京国立博物館で開催される。

伊藤若冲 重要文化財 仙人掌群鶏図襖 江戸時代・18世紀 大阪・西福寺蔵
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 2016年に44万人以上の来場者数を記録した「若冲展」をはじめ、東京国立博物館で開催中の「運慶展」(〜11月26日)、京都国立博物館の「国宝展」(〜11月26日)など、日本美術に対する関心は近年、ますます高まっているようにみえる。

 そんな日本美術の歴史において、数多く存在する名作。その名作同士のつながりに焦点を当てた展覧会「名作誕生」が2018年春に開催されることになった。

国宝 普賢菩薩像 平安時代・12世紀 東京国立博物館蔵(展示期間:4月13日~5月6日)

 本展では、ジャンルや地域、そして時代を超えた「名作」約120件が集結。

 国宝「普賢菩薩像」(12世紀)や国宝「聖徳太子絵伝」(1069)などをはじめ、雪舟の重要文化財《四季花鳥図屏風》(15世紀)、伊藤若冲の重要文化財《仙人掌群鶏図襖》(18世紀)、尾形光琳の国宝《八橋蒔絵螺鈿硯箱》(18世紀)、そして岸田劉生の重要文化財《道路と土手と塀(切通之写生)》などを展示。4章、12のテーマに分け、モチーフのつながり、あるいは巨匠たちのつながりによって、どのような作品が生み出されてきたのかを明らかにする。

伊藤若冲 雪梅雄鶏図 江戸時代・18世紀 京都・両足院蔵

 本展は、1889年に岡倉天心らが創刊し、いまなお発行され続けている世界最古の美術雑誌『國華』(こっか)の130周年を記念して開催されるもの。『國華』主幹の小林忠は「名作を同じ空間で並べる贅沢な試みをしてみようというのが趣旨」と話す。

 

 美術史を読み解く上で欠かせない「文脈」。それを具体的に展覧会というかたちで示す。なお、本展は他の会場への巡回は予定されていない。

岸田劉生 重要文化財  道路と土手と塀(切通之写生) 1915 東京国立近代美術館蔵