彫刻家・藤堂は関東大震災で倒壊した建物のレンガや、ベルリンの壁といった特殊な来歴を持つ瓦礫や鉱物などと、積層ガラスを組み合わせた作品で知られている。また、日常的に描き継いでいる大量のドローイングや、木箱を “小さな空間” ととらえ、無数に組み上げたインスタレーションなど、その作品のヴァリエーションは多岐にわたる。
本展のタイトル「バウ / バウ」は、ドイツ語で「解体」や「撤去」を意味する「Abbau」、「建造」や「構造」の意味を持つ「Aufbau」という2つの単語を示している。会場では、建築工事用の足場を用いて空間を再構成するインスタレーションを軸に展開。ギャラリー空間に対するダイナミックな建築的アプローチとともに、藤堂の創造の源でもある、「素材」や「空間」を取り巻く刺激的な世界を体験できる機会となるだろう。