クリエイティブ・ディレクター サバト・デ・サルノ率いるグッチが、最新広告キャンペーン「We Will Always Have London」をスタートさせた。
これは、今年5月に発表された2025年クルーズコレクションの開催地であるロンドンを舞台に、70年代初頭に初めて発表された〔グッチ ブロンディ〕バッグの新作をとらえたもの。その撮影を担ったのが、世界的に知られるアーティストのナン・ゴールディンだ。
ゴールディンは自身が陥った「オピオイド中毒」の事態改善を訴える団体「P.A.I.N」を設立。オピオイドの普及のきっかけをつくったサックラー一族の名を冠するメトロポリタン美術館「サックラー・ウィング」で抗議行動を行うなど、この問題について闘い続けてきたアーティストだ。 2006年にフランス芸術文化勲章を受章し、23年にはアート界でもっとも影響力を持つ100人「Power 100」で1位にランクイン。また同年にはゴールディンのオピオイド中毒に対する闘争の軌跡を追ったたドキュメンタリー映画『All the Beauty and the Bloodshed(美と殺戮のすべて)』がアカデミー賞にノミネートされるなど、現代においてもっとも影響力のあるアーティストのひとりとして広く知られている。
「We Will Always Have London」の舞台は、100年以上前に若きグッチオ・グッチの情熱の発火点となった地・ロンドン。グッチはザ・サヴォイ ホテルでポーターとして働きながら、世界を旅する上流階級の人々の洗練とエレガンスに初めて接した。その経験が1921年に自身の名を冠したレザーグッズ ブランドの創設へとつながっている。2025年クルーズ コレクションと本広告キャンペーンは、グッチとロンドンの永遠のつながりを讃えるものだという。
キャンペーンでは、ゴールディンのドキュメンタリースタイルのアプローチが存分に生かされた。モデルとして起用されたのは、デボラ・ハリーとケルシー・ルーだ。カルチャー アイコンであるデボラ・ハリーは、ブロンディの創設メンバーのひとりでフロントウーマンでもあり、その反骨精神、先駆的なスタイル、不朽の音楽的影響力で、あらゆる世代にインスピレーションを与え続けている。またチェリスト兼作曲家のケルシー・ルーは、現代においてもっとも高く評価されるパフォーミング・アーティストのひとり。
ミステリアスな夜の雰囲気のなかで、主人公たちがロンドンの様々な場所をめぐる映画のような物語が展開されるキャンペーンビジュアルに注目だ。