2024.1.5

能登半島地震、美術館や作家にも影響

1月1日に発生し、石川県能登地方で最大震度7を観測した「令和6年能登半島地震」。その影響が美術館や作家にも及んでいる。

金沢21世紀美術館

 1月1日に発生し、石川県能登地方で最大震度7を観測した「令和6年能登半島地震」。その影響が美術館や作家にも及んでいる。

 石川県では屈指の観光名所でもある金沢21世紀美術館が、被害状況確認のため建設業者の点検が済むまで当面の休館を決定。館内14ヶ所の展示室で被害が生じており、天井ガラス板の落下などが確認されているという。

 いっぽう近隣の国立工芸館は1月5日まで被害状況確認のため臨時休館だが、同館によると作品への被害はないという。

 谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館も1月5日まで安全及び設備機器等の確認のため休館する。

 隈研吾建築である富山市ガラス美術館は1月8日までの臨時休館を決めた。同じ施設内には市立図書館が入るが、図書館は館内点検と復旧作業のため当面の間休館するとしている。

 こうしたなか、金沢市内の私設現代美術館「KAMU kanazawa」は4日から通常運営をスタート。代表を務める林田堅太郎は美術手帖に対し、「地震の影響で一部調整中の展示もありますができるかぎり多くの展示を楽しんでもらえるよう努めます。 地震で多くの観光施設等ストップしていますが、金沢で少しでもゆっくり楽しめる場所になれたらと思っております」とコメント。 また、美術館のショップ&カフェ「076-」は誰でも無料で使用できるオープンスペースであり、電源・Wi-Fiも完備。「金沢で行く場所がなかったらいつでも076-を利用してもらえたら」と呼びかけている。

 作家への被害も明らかになってきた。1879年創業の九谷焼の窯元・上出⻑右衛門窯の六代目にあたる上出惠悟は、自身のInstagramで被害状況を発信。完成品や制作途中の作品、素焼や見本が数多く被害にあったことを明らかにしている。

 また石川県能美市を拠点に活動する牟田陽日は、自宅と工房に被害があったものの「リカバリー可能」とXで伝えている。

 石川には工芸作家が多く拠点を構えており、とくに震災の被害が大きい能登や輪島などでの作家や職人の被災状況が危惧される。

 なお、国立文化財機構の文化財防災センターは、域内での文化財の被害などについての情報や手伝いが必要な事案などについて、同センターに相談してほしいと呼びかけている。

*一部内容を追加しました(1月7日)