25周年を迎える「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(以下、大地の芸術祭)。2024年に開催予定となる第9回目の企画が発表された。総合ディレクターは北川フラム。
大地の芸術祭は2000年に初めて開催。これまで3年に1度、おもに7月から9月にかけて約50日前後の会期で開催されてきたが、21年の新型コロナウイルスによる1年の延期を受けて、22年は4月29日から11月13日の会期で実施。来年は7月13日から11月10日までの87日間の会期で開催が予定されている(火水は定休日)。
同芸術祭は十日町、川西、中里、松代、松之山、津南といった6つのエリアをまたぎ開催されるもので、各エリアで17の国と地域から72組のアーティストやプロジェクトが参加を予定している。
参加作家は、東弘一郎、EAT&ART TARO、石松丈佳、磯辺行久、伊藤千枝子、岩城和哉+東京電機大学岩城研究室、牛島智子、アイシャ・エルクメン、elparo、大赤沢分校プロジェクト [仮](深澤孝史、佐藤研吾、井上唯、内田聖良、永沢碧衣、松尾高弘、山本浩二)、岡淳+音楽水車プロジェクト、越智良江、尾花賢一、加治聖哉、ニキータ・カダン、イリヤ・カバコフ、イリヤ&エミリア・カバコフ、椛田ちひろ、枯木又プロジェクト(吉野央子、内田晴之、金沢寿美、衣川泰典、LIISA)、川俣正、北雄介+長岡造形大学 北研究室有志、久保寛子、鞍掛純一、ダダン・クリスタント、アントニー・ゴームリー、酒百宏一、佐藤悠、白井美穂、関口光太郎、瀬山葉子、竹内公太、田島征三、田中泯、丹治嘉彦+橋本学、ツァン・マン・フ&タム・ユク・ラン・ウィニー・コーデリア、田中央工作群、豊福亮、中﨑透、Nakago Green Land ─ どうぶつたちの息吹と再生 [仮](参加作家は島田忠幸、玉田多紀、中里繪魯洲、中村正、早川鉄兵、村山大明)、楢木野淑子、ローレン・バーコヴィッツ、ターニャ・バダニナ、86B210、アン・ハミルトン、原倫太郎+原游、マッシモ・バルトリーニ、BankART1929+みかんぐみ+神奈川大学 曽我部研究室+50数名のアーティスト、日比野克彦、ムニール・ファトゥミ、布施知子、増田啓介+増田良子、松本秋則+松本倫子、マ・ヤンソン / MADアーキテクツ、ナウィン・ラワンチャイクン、力五山─ 加藤力・渡辺五大、山崎真一 ─、ロジャー・リゴース、ジミー・リャオ。
また、越後妻有の魅力的な冬を伝えるための企画としてプレイベント「越後妻有2024 大地の芸術祭 冬」(2024年1月13日〜3月10日)も開催予定。ダンサー・田中泯による雪上のパフォーマンス「雪の良寛」(2月23日)はとくに注目したいポイントだ。
これらのイベントは会期中複数のオフィシャルツアーが開催されるため、こちらに申し込むことでより効率的に会場を見て回ることができるだろう。作品鑑賞パスポートは11月19日よりオンラインまたは現地で販売されるほか、ふるさと納税の返礼品としても手に入れることができるのも嬉しいポイントだ(冬のプレイベントは現地販売のみ)。
25周年を迎えるに当たって開催当初よりディレクターを務めてきた北川は、その意気込みを次のように語った。「2000年当時はまったく人の来なかったこの芸術祭だが、いまとなっては地域おこしのモデルとなり、美術の在り方がホワイトキューブの中だけではないことを証明してきた。皆さんへ感謝をお伝えするとともに、初心にかえり進めていきたい」。
また、実行委員長を務める関口芳史(十日町市長)は「2017年までは国際化が進み、インバウンドの来場者も増えていたが、2018年以降は新型コロナウイルスの影響でその様相や芸術祭の在り方に変化が生じた。第9回目となる24年は、アフターコロナの芸術祭を皆様にお伝えする準備をしている」と挨拶。総合プロデューサーの福武總一郎は開催への期待感を口にしつつも、「こういった地域おこしに、行政は積極的に関与すべきだ」と新潟県に対する意見も述べていた。
この25年間、様々な企画を試行錯誤しながら越後妻有の魅力をアピールしてきた大地の芸術祭。同地ならではの文化や、そこで生まれるアート作品との出会いをぜひ体験してみてはいかがだろうか。