大阪IR資料の奈良美智・村上隆作品画像使用、「許諾得ず」で結論

国が認定した大阪のカジノを含むIR(統合型リゾート)施設の広報用資料で奈良美智・村上隆の作品が使用されていた問題で、出資会社・合同会社日本MGMリゾーツは無断使用を認める調査報告を発表した。

MGMリゾーツのウェブサイトに掲載されていた画像(削除済み)。左奥に奈良美智の作品が見える 出典=https://www.mgmresorts.co.jp/news/1107/

 合同会社日本MGMリゾーツと大阪IR株式会社は、2社が共同出資する大阪IR施設の広報資料内で奈良美智と村上隆の作品画像が無断使用された問題についての調査報告を発表した。

 本件は、奈良本人による無断使用を指摘するTweetが発端となって明るみに出たもので、MGMリゾーツは4月時点で「当時の権利処理の状況等につきましては引き続き調査中」としながらも「しかるべき承諾を得ていない可能性が高い」と認めていた。

 MGMリゾーツは8月29日に発表した「大阪IRに関する動画等におけるデザイン等の無断使用について」という文書のなかで、「当時の権利処理の状況について調査を行った結果、権利者から使用許諾を得ることなく本デザインを無断で使用したとの結論に達しました」と発表。作品画像の無断使用を認めた。

 2作品のうち、奈良の《あおもり犬》」については、MGMリゾーツがギャラリー経由で使用許諾を求めたものの、2020年6月末に断られていたことも明らかになった。また村上《お花お花お花》は村上サイドにコンタクトした事実もなかったという。

 こうした使用許諾を得ていなかったにもかかわらず、同社はこれらをデザインとして埋め込んだパース図を使用し、大阪府・市に提出。2021年9月には、青森県立美術館からの問い合わせを受け、大阪府・市から同社に《あおもり犬》の使用許諾について確認依頼があったものの、許諾を得ている旨の回答をしていたという。

 同社はこうした著作権を無視した作品画像の利用について謝罪を表明するとともに、再発防止策として「 第三者のアート作品の使用に係るプロセスの強化」「広報資料に使用する写真等の使用に係るプロセスの強化」「コンプライアンス意識の向上と教育の徹底」を行うことを表明している。

 一般財団法人奈良美智財団はこの発表を受け、大阪府・市等関係者から謝罪があったことを明らかにしており、「これを機に、アートにかかわる権利が広く尊重される社会となることを強く希望いたします」とのコメントを出している。

*──一部内容を追加しました。

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