入江泰𠮷記念奈良市写真美術館が、メタバース上でのNFT奈良市写真美術館(仮称)の開館を目指して実証実験をスタート。日本の写真美術館としては初めてであり、公立美術館全体でも珍しい試みだ。
今年、同館では15万点以上ある入江泰𠮷作品のデジタル化とNFT化を進め、デジタル資産上での権利証明も付加。メタバース空間「The Sandbox」と「Decentraland」で今秋のオープンを予定しているNFT奈良市写真美術館は、入江泰𠮷作品や奈良の魅力を広め、写真美術館として日本の写真家を世界に届けることを目指している。
また、コロナ禍により美術館を訪問する機会が少なくなった児童および生徒を対象に、オンラインによるメタバース美術館での作品鑑賞や、撮影した写真をNFT化しメタバース上の美術館へ展示する企画も検討されているという。
なお海外では、NFTに特化した美術館「シアトルNFTミュージアム」が今年1月にアメリカ・シアトルにオープン。ヴァチカン市国も、その美術品や写本などの収蔵品をオンラインで公開するVRおよびNFTギャラリーを今年後半にオープンさせることを発表している。
NFTの世界では暗号通貨の下落など混乱が続いているが、こうしたメタバース上での新たな取り組みによって物故作家の作品に対する再評価の機運が高まるだろう。