ヴァージル・アブローが41歳で逝去。ファッション、アート、音楽を股にかけ活動

ファッションブランド「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™」を創業し、2018年には「ルイ・ヴィトン」メンズのアーティスティック・ディレクターに黒人として初めて就任したヴァージル・アブローが11月28日、がんのため死去した。41歳。

ヴァージル・アブロー

 もっとも勢いのあるファッション・デザイナーだったヴァージル・アブローが11月28日、がんのため死去した。41歳。

 ヴァージルは1980年アメリカイリノイ州ロックフォード生まれ。ウィスコンシン大学マディソン校で土木工学の学位を取得後、イリノイ工科大学で建築学の修士号を取得。2012年にはアート作品として自信のブランド「PYREX VISION」をスタート。翌13年から「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™」と改めウィメンズ、メンズのファッションブランドとしてスタートを切った。18年には「ルイ・ヴィトン」メンズのアーティスティック・ディレクターに黒人として初めて就任し、ファッション界のみならず大きな注目を集め、精力的なコレクションを発表してきた。

 ヴァージルはファッションだけでなくアートの分野にも取り組んでおり、日本では18年に初個展「PAY PER VIEW」をカイカイキキギャラリーで開催。また19年にはシカゴ現代美術館で約20年にわたる活動を振り返る展覧会「Figures of Speech」が開催されている。

 ヴァージルは19年に難病である心臓の脈管肉腫と診断されたが、公表することはせずに闘病していたという。

 早すぎる死をめぐって、ルイ・ヴィトン親会社「LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン」会長兼最高経営責任者のベルナール・アルノーは、「このニュースを受けて、私たちはみなショックを受けている。ヴァージルは天才的なデザイナーであり、先見の明があっただけでなく、美しい魂と偉大な知恵を持った人物だった」との声明を発表している。

 また、交流があったアーティストたちからも追悼の言葉が相次いでいる。ヴァージルとのコラボレーション作品も多数手がけてきた村上隆は、「根本的な謎の答えをさりげなく目の前に置いてくれる天才。彼の存在によって、どれだけの人が自由になったことでしょう。私もそのひとりです。ありがとう、そして神のご加護を。でも正直なところ、彼が亡くなったことが信じられません。頭の中が空っぽです」(原文は英語)とショックの大きさを伝えている。

 KAWSは「このニュースが真実でないことを本当に願っています」との言葉を残している。

 ダニエル・アーシャムは「彼はユニークな才能を持ち、先見性のあるアーティストであり、友人でもありました。ヴァージを愛しています。あなたは私たちの多くに忘れがたい足跡を残してくれました」と投稿。

 またオラファー・エリアソンは「これまでのものを捨てて前を向くときには、あなたの芸術的なインパクトが重要でした。私たちは皆、あなたがいなくなってとても寂しいですが、進歩的で、人間的で、現実的であり続けることで、あなたの遺産に敬意を表したいと思います」とヴァージルを讃えている。

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