エドヴァルド・ムンクの《叫び》をはじめ、約40万点の作品を収蔵しているノルウェーのオスロ国立美術館。その新たな美術館が2022年6月11日にオープンする。
オスロ国立美術館は、2003年にノルウェーのナショナル・ギャラリー、建築博物館、装飾美術・デザイン博物館、現代美術館などが統合されて設立された美術館。16年から19年にかけて、ナショナル・ギャラリー、装飾美術・デザイン博物館、現代美術館はそれぞれ閉館もしくは臨時休館し、現在は主に建築博物館を拠点に活動している。
総面積約5万5000平米におよぶこの新美術館には、1万3000平米の展示スペースが設けられている。これにより、同館は北欧地域で最大級の美術館となり、オランダのアムステルダム国立美術館やスペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を上回る規模となる。
オスロの港に位置し、その街並みを一望できる新美術館。ドイツの建築家グループ「クライフス+シュベルク」が建築設計を手がけており、温室効果ガスの排出量を現在の建築基準に比べて半分以上削減するように設計されている。
2フロアにわたる約90の展示室では、《叫び》を含むムンクの作品群はもちろん、古美術から近代・現代美術、建築、デザイン、工芸まで、同館のコレクションから5000点以上の作品を常設展示。また、屋上に位置する企画展示スペース「ライト・ホール」では、ノルウェーの現代美術の最前線を紹介し、あらゆる分野および年齢層の約150人のアーティストの作品をこけら落としとして展示する。
そのほか、同館にはオープンエアのルーフテラスやカフェ、ショップ、北欧地域最大級のアートライブラリーなども備えられている。今年の夏にはアーリーアクセスとして建物のガイドツアーが予定されており、同館館長のカリン・ヒンズボは、「美術品が展示され、美術館がかたちづくられていくあいだ、来場者の皆様に内見していただきたい」と述べている。
なお、同じくオスロの港に「新ムンク美術館」は今年10月22日に開館することを発表している。エドヴァルド・ムンクの名を冠し、ひとりのアーティストに捧げられた美術館としては世界最大級となる同館は、工事の遅延によって数度も開館を延期していた。