1986年に開館し、2017年4月に閉館した八戸市美術館が、今年11月に新たに生まれ変わる。
これまで、新美術館については八戸市新美術館(仮)とされてきたが、名称はこれまでの歴史を引き継ぐかたちで「八戸市美術館」に決定。新たなシンボルマーク・ロゴデザインはデザイナー・加藤賢策によるデザインで、「新しい美術館が八戸の未来を描くための、『大きな土台』になってほしい」という思いが込められているという。
また新館長には、「美術館のコンセプトや建物を熟知している」人物として、同館建設アドバイザー兼運営検討委員会委員を担ってきた日本大学理工学部建築学科教授で建築家の佐藤慎也が4月1日付で就任する。
佐藤の専門分野は芸術文化施設の建築計画であり、様々なアートプロジェクトにも携わってきた経験を持つ。2月17日に行われた記者会見では、「これまで様々な美術館を見てきた。時代とともに美術や美術館は変化しており、これからの美術のために、美術館も変化していく必要がある」としつつ、「市民の皆様が日常のなかで気軽に立ち寄れる場所になるように努力ししたい」と抱負を語った。
同館の設計は西澤徹夫建築事務所・タカバンスタジオ設計共同体。延床面積は約4500平米で、建築面積は約3000平米。敷地中央にはパブリック・スペースである「ジャイアントルーム」が設置される予定で、佐藤は「この美術館は収蔵作品を持った美術館だけでなく、プロジェクト型の活動を展開させる美術館でもある。様々な人やモノが出会う、街中のような存在になる」と展望を語る。
開館特別展は「八戸三社大祭」を切り口に、浮世絵や現代美術などの作品展示や地域とつながるアートプロジェクトを実施するという。オープニングプロジェクトディレクターは吉川由美(アートプロデューサー、八戸市新美術館運営検討委員会委員、八戸市新美術館建設工事設計者選定プロポーザル審査委員会委員)。空間設計・会場デザインは西澤徹夫、浅子佳英、森純平。
なお青森県内にはすでに青森県立美術館や弘前れんが倉庫美術館、青森公立大学国際芸術センター青森、十和田市現代美術館などユニークな現代美術館が点在しており、八戸市美術館も含めた5館は連携プロジェクト「5館が五感を刺激する―AOMORI GOKAN」をスタートさせている。