2019年10月の台風19号によって収蔵庫が浸水し、収蔵品が被災した川崎市市民ミュージアム。いまだ再開の目処が立っていない同館の、被災から収蔵品レスキューまでの様子を収めたドキュメンタリー映像が公開された。
川崎市市民ミュージアムは1988年に開館。写真やマンガ、グラフィック、映画、映像などの「複製技術芸術」の歴史に関わる総合的なコレクションを有する美術館として知られているが、19年10月の台風19号(令和元年東日本台風)により、9つの収蔵庫が浸水被害を受け、収蔵品に甚大なダメージが及んだ。
6月には民俗・考古分野から写真・マンガ・グラフィック・映像分野に及ぶ約22万9000点の収蔵品が運び出されたが、いまだ修復作業は継続されており、すべての修復が完了するまでには10年ほどかかるという見通しが示されている。
今回公開されたドキュメンタリー映像では、開館当時の美術館の様子から始まり、美術館が実際に被災した直後の館内の様子、専門家によるレスキュー作業を克明に記録。いかに被害が甚大なものだったなのかがよくわかる内容だ。40分におよぶ映像は、今後の美術館レスキューにおける貴重な資料となるだろう。
なお同館の今後については、川崎市の検討部会によって、従来の施設で展示・収蔵することは難しいとの意見が出されている。