香港民主化デモの様子を記録。アイ・ウェイウェイが新作ドキュメンタリー『Cockroach』を発表

政治運動や普遍的人権などをテーマにした作品で知られる中国人アーティスト、アイ・ウェイウェイが、昨年より香港で起きた香港民主化デモの様子を記録した新作ドキュメンタリー『Cockroach』を発表。Vimeoオンデマンドでレンタル・購入可能だ。

『Cockroach』より

 今夏、中国湖北省武漢市を中心に世界中に拡大している新型コロナウイルスのパンデミックに関する長編ドキュメンタリー『Coronation』を発表した中国人アーティスト、アイ・ウェイウェイが、新作のドキュメンタリーを公開した。

 昨年より香港で起きた大規模なデモを記録した本作。タイトルの『Cockroach(ゴキブリ)』は、中国政府や香港政府を支持する人がデモ参加者たちに対する蔑称「ゴキブリ」から由来するもの。Vimeoオンデマンドでレンタルおよび購入することができる。

『Cockroach』より

 2019年2月、香港政府は香港で拘束した容疑者を中国本土に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正案を提案。この改正案は、「一国二制度」の下で香港の自治を衰退させる恣意的な拘留や、政治的動機に基づく裁判を懸念に大きな反発を呼んだ。

 同改正案の撤回を求めることに端を発したデモは、後に「独立した調査委員会の設置」や「普通選挙の実現」「デモ参加者の逮捕撤回」などを含む「五大要求」の達成を目的とする民主化デモに発展。しかし、今年6月末に中国政府によって施行された「香港国家安全維持法」によって、このデモは失敗に終わったとされている。

『Cockroach』より
『Cockroach』より

 そんな状況に対し、アイは昨年8月、抗議行動の最盛期に研究者チームを香港に派遣し、デモの様子を記録する素材を収集し、ドキュメンタリーの制作を始めた。今回の作品では、街頭デモ、警察の弾圧や暴力、香港理工大学の数日間にわたる包囲など、デモの重要な出来事をとらえており、抗議運動の変遷を記録。また、香港人の活動家や抗議者、政治家、一般市民、警察官へのインタビューも収録されている。

 この作品について、アイは自身のInstagramでこうコメントしている。「『Cockroach』は、独立した民主的な香港の最後の瞬間を、痛烈でドラマチックな映像で記録した作品だ。2020年6月30日、中国は香港に国家安全維持法を施行し、香港の司法と政治の独立を事実上終了させ、香港は北京の支配下に置かれた」。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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