2020.8.25

国の分野横断統合ポータル「ジャパンサーチ」の正式版が公開。国内コンテンツ2100万件のアーカイブを横断検索可能に

文化財、美術、映画、学術資産など、様々な分野のデジタルアーカイブと連携してコンテンツのデータベースを構築し、まとめて検索し活用できるポータルサイト「ジャパンサーチ」の正式版が8月25日にリリースされた。

「ジャパンサーチ」のトップページ
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 文化財、美術、映画、学術資産等など、様々な分野のデジタルアーカイブと連携してコンテンツのデータベースを構築し、まとめて検索し活用できるポータルサイト「ジャパンサーチ」。2019年2月より試験版が公開されてきた同サイトだが、その正式版が8月25日にリリースされた。

 「ジャパンサーチ」の運営主体は内閣府知的財産戦略推進事務局の実務者検討委員会で、システム運用は国立国会図書館が担当。国内のデジタルコンテンツのデータを蓄積し横断検索を可能にすることで、教育、学術研究、観光、地域活性化、防災、ヘルスケア、ビジネスなど様々な分野で利活用されることが期待される。

「ジャパンサーチ」のトップページ

 8月25日現在、「ジャパンサーチ」では、約2100万件のデータの検索が可能となっている。これらデータは「つなぎ役」として参画する機関の持つデータベースがとりまとめて提供されており、美術の関連分野では国立文化財機構、国立美術館、一般社団法人全国美術館会議、日本写真保存センター、映像産業振興機構などが名を連ねている。

 おもな機能としては、データの横断検索、テーマ別検索、画像検索、メタデータのAPI提供など。正式版では、ユーザーがお気に入りにしたコンテンツで自分だけのギャラリーを作成し、複数人で共同編集できる機能などが追加されている。

 実際に「ジャパンサーチ」のウェブサイトを見ていきたい。トップページには、データベースからピックアップした作品を紹介するコーナーや、「日本国憲法」「日本の伝説 異界」といったテーマに沿ってデータを紹介するギャラリーなどが用意され、コンテンツとして登録されたデータを見せようという工夫が見てとれる。

「ジャパンサーチ」のトップページ

 しかしながら、トップページから本サイトの肝要となる、絞り込みの条件設定を含めた全データ横断検索画面に遷移するには、トップページの小さなデーベース総数の数字をクリックするかたちとなっており、わかりにくさが否めない。横断検索画面をトップページに持ってくるなど 、改善を期待したい箇所といえるだろう。

「ジャパンサーチ」の横断検索画面

 登録された各資料には、画像(登録されているもののみ)とともに、作者や制作年、素材といった情報や内容説明が付記されている。さらに著作権の有無や、パブリックドメインであるか否かといった、どうすれば資料の画像を使えるのかが明示されており、学術研究や商用利用などでのデータベースの活用を志向していることがうかがえる。

「ジャパンサーチ」の登録データ画面

 内閣府知的財産戦略推進事務局は、正式版公開後もさらに各種機能の改善及び拡充に努めつつ、デジタルアーカイブの構築・共有と利活用を促進する環境づくりを行うとしており、今後の発展や改修を期待したい。