2020.7.22

札幌国際芸術祭2020、中止が決定。新型コロナの影響避けられず

2020年12月からの開催を予定していた札幌国際芸術祭2020が、中止となることが決定した。新型コロナの影響だ。

札幌国際芸術祭2020のウェブサイトより

 今年で3回目を迎える予定だった「札幌国際芸術祭」が、中止となることが発表された。

 同芸術祭は、2014年に初回が開催されたもので、これまで坂本龍一、大友良英がディレクターを歴任。今回は、初の共同ディレクター制を採用し、「Of Roots and Clouds: ここで生きようとする」というテーマのもと、天野太郎、アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカ、田村かのこの3名がディレクターとして名を連ねている。

 札幌国際芸術祭2020は、すでに参加アーティスト全48組が固まっていたが、新型コロナの影響が予測しきれない状況のなか、「渡航制限や移動の自粛等により、展示の準備・実現や、冬の札幌の魅力と合わせた作品鑑賞が困難となる可能性があること、また、判断の遅れにより関係者の負担が大きくなること」(主催者リリースより)を理由に中止が決定。

 実行委員会会長であり札幌市長の秋元克広は、中止に際して次のようにコメントを発表。すでに次回開催に向けて動き出す姿勢を見せている。「『札幌国際芸術祭 2020』は中止となりますが、人々の心を豊かに する文化芸術の取組を次へとつなげていくためにも、これまで準備してきた企画及び経緯は記録としてまとめると共に、この冬に向けてイベント等を実施できないか検討したいと思います。さらには、次回3年後の芸術祭開催についての検討を始めたいと考えております」。

 また統括ディレクターの天野は、新型コロナの影響について「こうした事態を踏まえて展覧会をこれから準備する立場にある我々としては、相応の経費をかけて本芸術祭を安全に実施、開催する担保が取れない状況を無視することはできませんでした」とコメント。すでに決定していた全容を記録として残し、アーカイブ化する方針を明らかにし、23年の芸術祭につなげたいとしている。

 札幌国際芸術祭は、札幌市は2013年にユネスコ創造都市ネットワークにメディアアーツ都市として加盟したことから、過去2回の開催においても、メディア・アートを芸術祭の核としてきた。2020では、このメディア・アートにとくに注力するとし、エドワード・イナトビッチや三上晴子らの作品を展示予定だった。