新型コロナウイルスの影響でアート界のカレンダーが大きく動いている。ヴェネチア・ビエンナーレは、今年開催予定だった国際建築展と、来年開催予定だった国際美術展の延期を発表した。
ヴェネチア・ビエンナーレは1895年から始まった世界を代表する国際展で、美術、建築、音楽、映画、演劇を独立部門として有する。このうち美術展と建築展は2年に一度、交互に開催されるのが通例であり、今回は2020年に建築展が、2021年に美術展が開催されるはずだった。
しかしながら、新型コロナウイルスの世界的流行によってそのカレンダーは変更を余儀なくされた。今年8月29日から11月29日まで開催予定だった第17回国際建築展「How Will We Live Together?」は、21年5月22日から11月21日の会期に変更。これに伴い、第59回国際美術展は22年4月23日〜11月27日の会期となる。
ビエンナーレ側は、パンデミック下での開催は不可能と判断しており、「現在の状況では作品の輸送などを含め展覧会の実現を危うく、その質も危惧される」としている。
またヴェネチア・ビエンナーレ財団のロベルト・チクット会長は「ここ数日で、私たち全員が直面している状況の実態が明らかになった」としつつ、以下のようなコメントを発表している。「すべての国や機関、大学、建築スタジオが直面している困難に加え、輸送の不確実性や個人の渡航制限、そして感染拡大防止措置を考慮し、ビエンナーレの延期を要求した大多数の人々の声に耳を傾けることにした」。
ヴェネチア・ビエンナーレ日本館は、次回の建築展が明治大学准教授で建築事務所「アソシエイツ」パートナーの門脇耕三によるキュレーション。美術展では、ダムタイプの個展が行われる予定となっている。
なお今回の延期によって、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展は、ドイツ・カッセルで5年に一度開催される国際展「ドクメンタ」と同年開催となる。