「あいちトリエンナーレ2019」の一企画として行われた「表現の不自由展・その後」。そのなかにおいて、《平和の少女像》とともに大きな物議を醸した映像作品が、大浦信行の《遠近を抱えて PartⅡ》だった。今回の、その《遠近を抱えて PartⅡ》の引用元となった映像作品《遠近を抱えた女》が、オンラインで有料配信されている。
《遠近を抱えて PartⅡ》では、「昭和天皇の肖像を燃やした映像」という、作品全体のいち部分を切り取った批判が展開され、メディアでも大きく取り沙汰された。今回配信されている《遠近を抱えた女》においても、大浦の版画作品であり昭和天皇をコラージュした《遠近を抱えて》が燃やされるシーンが含まれている。こうしたシーンを含む大浦の作品は、「あいちトリエンナーレ2019」を超えたいま、どのように訴えかけるのか。
同作の撮影・プロデュースを担った辻智彦は、「《遠近を抱えた女》は、決して難解な映画ではありません。笑いや驚きや、時に艶っぽさを振り撒く、音楽も映像も編集も映画的魅力に満ちた映画です。人生の新たな可能性を指し示す、元気の出る映画です。皆さんがこの映画をご覧になり、それぞれの『新たな希望』を持っていただければ、とても嬉しく思います」としている。
なお、同作は第40回ブリュッセル独立映画祭においてオープニング作品として選定された実績があるが、国内での上映の目途は立っていないという。
配信終了後、収益の半額は4月13日よりスタートする予定のクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」に寄付。コロナの影響で危機的状況にあるミニシアター救済に充てられる。