公益財団法人静嘉堂が運営する東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館が、2022年の展示ギャラリー移転を発表した。移転場所は、東京・丸の内の明治生命館1階。明治生命館は1934年に竣工し、昭和の建築物としては初の重要文化財となった歴史的建造物だ。
移転する施設は美術館の展示ギャラリーのみとし、美術品の保管管理・研究閲覧業務と、静嘉堂文庫(書庫)や敷地・庭園の管理業務は、引き続き現在の場所で継続していくという。
静嘉堂は1892年、三菱の二代目と三代目の社長である、岩﨑彌之助と岩﨑小彌太の父子によって設立。1977年より静嘉堂文庫展示館で美術品の一般公開を開始し、92年には現在の静嘉堂文庫美術館が開館した。
同館は世界に3点しか現存しない中国・南宋時代の国宝《曜変天目(稲葉天目)》をはじめ、国宝7点、重要文化財84点を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と、6500点の東洋古美術品を収蔵している。
三菱一号館美術館、出光美術館、東京ステーションギャラリー、インターメディアテクなど美術館施設が豊富な丸の内に、新たに同館が加わることになる。