スペインの離島「国王の島」に、ハウザー&ワースが新しいアートセンターをオープン

メガギャラリーとして知られているハウザー&ワースが、2020年にスペイン・メノルカ島のマホン港にある「Isla del Rey(国王の島)」にアートセンター「ハウザー&ワース・メノルカ」を開設する。展示スペース、庭園、ギャラリーショップ、レストランなどで構成されるこのセンターでは、コミッションプロジェクトや展覧会、教育プログラムなどが行われる。

Isla del Rey Courtesy Hauser & Wirth Photo by Damian de Clercq

 香港、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークなどにスペースを持つハウザー&ワースが、2020年にスペイン・メノルカ島のマホン港にある、スペイン語で国王の島を意味する「Isla del Rey」にアートセンターを開設する。

 「ハウザー&ワース・メノルカ」と名付けられたこのセンターは、廃棄された18世紀の海軍病院の付属棟を改造したものであり、展示スペース、教育プログラム、庭園、ギャラリーショップ、レストランで構成。毎年4月から10月にかけて、ギャラリーに所属するアーティストによるコミッションプロジェクトや、美術館のコレクションから借りる作品を含む展覧会が開催される。

 同ギャラリーの設立者、イワン・ワースとマヌエラ・ワースは、数年前からメノルカ島を訪れ、島の野生の美しさや、地元の人々の親切な性格、そして島の自然環境と文化遺産に惚れこんだという。イワンは、「このプロジェクトのアイデアについて最初に話し合ったときに、メノルカ島のコミュニティや地方自治体は私たちに大きな優しさや熱意を示してくれました。それにより私たちは先に進むことが確信できたのです」と語っている。

Isla del Rey Courtesy Hauser & Wirth Photo by Damian de Clercq

 パリを拠点とするアルゼンチンの建築家、ルイス・ラプラスが、1500平米におよぶスペースの修復を担当。オランダのランドスケープデザイナー、ピエト・オードルフは、アートセンター内およびその周辺に、メノルカ島の気候に適した庭園の設計を手がける。メノルカ島出身で、バレアレス諸島、バルセロナ、アムステルダムの文化的および教育的プロジェクトで務めていたマル・レスカルボは、同センターのディレクターに就任する。

 また同センターは、地元の慈善団体、メーカー、団体と提携し、各展覧会を支える様々な教育プログラムも開催。地域の学校や家族、大人、そして観光客に向け、上映、講演、ワークショップなどを行うという。

 2014年、ハウザー&ワースはイギリス南西部の農村に、アートセンター「ハウザー&ワース・サマセット」を設立。展示スペース、レストラン、レジデンス、教育プログラムなどを揃えたこのセンターには、学校や教育機関を含め、毎年数多くの人々が訪問している。今回「Isla del Rey」にオープンするアートセンターは、地元の観光産業や美術教育にどのような影響をもたらすのか、注目したい。

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