52ヶ国から262本の映画が集結。20回目となる「全州国際映画祭」に百瀬文が正式招待として参加

実験映画や独立系映画をフォーカスした国際映画祭「全州国際映画祭(JIFF)」が、5月2日〜11日に韓国南西部の全州で開催される。「Cinema, Liberated and Expressed」をテーマとした、52ヶ国から262本の映画が上映される今回の映画祭の見どころとは?

百瀬文、イム・フンスン《交換日記》より

 韓国南西部にある全羅北道の州都、全州で開催される国際映画祭「全州国際映画祭(JIFF)」が、5月2日からスタートする。20回目の今年は、「Cinema, Liberated and Expressed(解放され、表現された映画)」をテーマに52ヶ国から262本の映画が上映される。

 オープニングを飾る作品は、イタリア人監督のクラウディオ・ジョバンネージによる映画『ピラニア』。麻薬の売人を手助けすることで影響力を拡大するティーンエイジャーたちを物語る本作は、2019年のベルリン国際映画祭「国際コンペティション」に招待され、ベスト脚本賞を受賞したもの。

 韓国映画100周年を記念したスペシャルプログラム「Another Upsring of Korean Cinema and Wild at Heart」では、韓国映画を振り返り、その歴史における独創性を紹介することで、韓国映画を再認識するという。

 また、「Expanded Plus」という非劇場型インスタレーションプログラムは今年初めて開催。実験的な映画に注目したこのプログラムでは、10人のアーティストは「パルボック現代美術工場」で劇場上映や映写、インスタレーションなどの方法で作品を同時に展示する。

 そのほか、国際映画祭で数々の賞を受賞し、韓国の独立系映画市場を拡大することに貢献したプロジェクト「Jeonju Cinema Project」や、韓国の独立系映画制作者を発掘し支援するプロジェクト「Jeonju Cinema Fund」、様々な文化芸術分野のクリエイターによる映画制作を支援するプロジェクト「Middle Earth Camp」など多彩なプログラムが行われる。

百瀬文、イム・フンスン《交換日記》より

 なお、日本からは若いカープルの未来や結婚に対する不安と抵抗に注目した山本英の『小さな声で囁いて』が出品。また、百瀬文とイム・フンスンが共同で制作した《交換日記》が、「Korea Cinemascope」部門で正式招待。これは、ソウルで暮らすイム・フンスンと東京で暮らす百瀬文によるビデオレター・プロジェクト。

 ふたりは、それぞれの住む土地または訪れた場所で撮影を行い、その映像素材を相手に送り、受け取った側は映し出される物事の社会的背景を、当事者としては理解できないまま、編集。そして、個人的に記した日記を自ら朗読し、その声を映像に重ね合わせ、相手のために相手の国の言語で字幕をつけるというもの。「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋――日本と韓国の作家たち」(国立新美術館、2015)、「六本木アートナイト2016」でも展示されたこの作品が、韓国でどのような反応を引き起こすのか、注目したい。

百瀬文、イム・フンスン《交換日記》より

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