京都造形芸術大学の市民講座「藝術学舎」を受講した女性が、アーティスト・会田誠や写真家・鷹野隆大らの講義で精神的苦痛を受けたとして、同大の運営母体である学校法人瓜生山学園を提訴したと弁護士ドットコムなどが報じた。
女性が受講したのは、同大東京外苑キャンパスの「藝術学舎」で2018年4月から6月にかけて開講された公開講座「人はなぜヌードを描くのか、見たいのか。」。横浜美術館の「ヌード展」を契機に開催された同講座では、ヌードを切り口にした全5回の講義が行われ、篠山紀信、藤原えりみ、会田誠、沼田英子、鷹野隆大の5名が講師として登壇した(フリーランス編集者・鈴木芳雄は全5回に登壇)。
弁護士ドットコムによると、受講生の女性はこのうち会田と鷹野の講義において、「涙を流した少女がレイプされた作品」や「勃起した男性の写真」などを見せられたことを受け、急性ストレス障害を発症したという。なお、同講座を紹介する藝術学舎のウェブサイトでは、会田が担当する第3回について、「ヌード、あるいは女性像を画題にした自作を中心に話します。たぶん芸術と対立概念になりがちなポルノの話や、第二次性徴期の話、フェミニズムの話なども避けては通れないでしょうね」という説明書きがなされていた。
この件に関して京都造形芸術大学は、「訴状が届いていないのでお話しできません」とコメント。いっぽう会田誠はTwitter上で「寝耳に水でした。」として以下のような投稿をしている。
寝耳に水でした。メディアからの取材はとりあえず断りました。自分のツイッターは編集されないので、ここに何か書きましょうか…。
— 会田誠 (@makotoaida) February 27, 2019
遠い記憶ですが、その夜のトークは僕の通常運転だったことは確かです。通常運転とは、学者や研究者のやる講義からはほど遠い、実作者としての言葉だったことです。(続く
続き)落ち着いた文化教養講座をイメージしていたなら、すごいギャップがあったでしょう。僕は芸術が「落ち着いた文化教養講座」の枠に押し込められることへの抵抗を、デビュー以来大きなモチベーションとしてきた作り手です。(続く
— 会田誠 (@makotoaida) February 27, 2019
続き)そもそも西洋から来た「ヌード」という美術のジャンルが、歴史的に「妙なもの」であるという点を軸に話したつもりでした。研究者でないので結論なくグダグダ話しただけと思いますが。全体的には「人類にとって芸術とは何か」という僕の人生を賭けたシリアスな問いの一環だったはずです。
— 会田誠 (@makotoaida) February 27, 2019
「モデルをズリネタに」云々という文字がありましたが、おそらくこういう文脈で出てきたものです。美大油絵科の学生としてみんなとヌードモデルを描いていた時に、はたと気づいた。裸の女性が真ん中にいて、たくさんの男たちが(当時美大は男子学生が多かった)それを凝視している。(続く
— 会田誠 (@makotoaida) February 27, 2019
続き)そして言外に欲情は禁じられてる。これってなんなんだ? 何ゆえなんだ? 歴史的経緯は? 美術・芸術の領域(具体的には芸大上野キャンパス)から一歩出た世間は、まったく違う風か吹いているじゃないか? どっちが嘘をついているんだ? どっちが病的なんだ? そういう問いです。
— 会田誠 (@makotoaida) February 27, 2019