昭和期を代表するグラフィックデザイナーであり、世界のデザイン史に大きな足跡を残残した田中一光(1930〜2002)。デザイナーの三宅一生が、田中の仕事への尊敬の念、多くの刺激を与えられたことへの感謝の気持ちをきっかけに、2016年に開始したのが「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE」だ。
「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE」は、現存するオリジナル作品の色彩を忠実に再現するいっぽうで、作品をたんに絵柄として扱うのではなく、着用して立体となることで田中作品の魅力が増幅する、いきいきとしたエネルギーを宿した衣服を目指してきた。
4回目となる今回のコレクションのモチーフは、田中の「連続する記号」、そして「円または、円の遊戯」シリーズから選ばれ、各作品が持つ躍動感とユーモア、そして温かい印象を大切にし、シンプルでスポーティーなデザインをベースに作品そのものの細部まで吟味した多様な素材を用いている。
つねに新しい価値の形成に挑戦し続けた田中の力強い作品を、衣服というかたちで表現することによって、デザインのあるべき姿や楽しさを多くの人々に知ってほしい。そんな三宅の思いが込められた「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE」に注目してほしい。