10月13日、台湾南部初の国立劇場である「衛武営(ウェイウーイン) 国家芸術文化センター」が高雄に開館した。台湾でもっとも重要な文化的プロジェクトである同館は、台湾南部の芸術開発を推進するという使命のもと、歴史的な軍事訓練基地を未来の芸術と文化の中心地に変容させた。
オランダの建築家、フランシーヌ・ホウベン(Mecanoo)がデザインした同館は、衛武営都会公園の北東に位置しており、敷地面積は9.9万平米におよぶ。2236席のオペラハウスや1981席のコンサートホール、1210席の劇場、434席のリサイタルホール、そして屋外劇場を有しており、世界最大級の舞台芸術センターとなっている。
緑豊かな公園に囲まれた建物の外観は、高雄独自の造船業にインスピレーションを受けた有機的なフォルム。ガジュマルの木の樹冠のような巨大なキャノピーは、なめらかな曲線によって周囲の環境と融合しており、キャノピーが地面と合流する大きな斜面には、屋外劇場が形成されている。
亜熱帯気候を念頭に設計されたオープンな構造は、風が広場を自由に吹き抜けることを可能にするとともに、内部と外部がシームレスな構造は、誰もが自由に建物にアクセスできる機会をつくりだし、劇場と人々とのあいだに親密な関係を生みだしている。
これまでの型にはまらないユニークな演劇空間で、今後どのようなプログラムが上演されるのか、注目したい。