2018.8.24

サザビーズの競売人、フィリップ・フックが案内する画商列伝。美術史において誰が「名画」をつくりだしたのか?

オークションハウス・サザビーズの競売人であるフィリップ・フックが、『ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか?』(フィルムアート社)を8月25日に刊行する。本書は、美術史と美術品の価値に影響を与えた画商たちの列伝。

フィリップ・フック ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか?(フィルムアート社)

 オークションハウス・サザビーズの現・取締役で、印象派と近代美術部門のシニア・ディレクターとして活躍するフィリップ・フックが、歴史上の画商たちを紹介する書籍『ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか?』(フィルムアート社)を刊行する。

 フックはイギリス・ケンブリッジ大学で美術史の学位を取得後、73年にオークション会社クリスティーズに入社し、80年から87年まで19世紀絵画部門の長を務めた。画商としての活躍を経て、94年にサザビーズに入社し、現在に至る。

 その間、イギリス・BBCの人気テレビ番組「アンティーク・ロードショー」の鑑定人役としても知名度を高めたほか、オークショニア(競売人)、画商として40年にわたり美術市場で培ってきた経験と専門知識を活かし、執筆活動も精力的に行ってきた。

 著書に代表される、世界各国での印象派の受容の歴史を紐解いた『印象派はこうして世界を征服した』(白水社、2009)は、『フィナンシャル・タイムズ』の2009年の「ブック・オブ・ザ・イヤー」に、また『サザビーズで朝食を 競売人が明かす美とお金の物語』(フィルムアート社、2016)は、『フィナンシャル・タイムズ』『サンデイ・タイムズ』『スペクテイター』『ガーディアン』といった、2013年の各紙の「ブック・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。いずれも美術市場に精通した立場から美術史を論じた書籍として高い評価を得ている。

 8月25日に刊行される『ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか?』(フィルムアート社)は、「PartI ルネサンスと啓蒙主義の時代 画商という存在の誕生」「PartII 十九世紀 オールドマスターの画商と現代美術の画商」「PartIII 近代 モダニズムの時代の画商たちの活躍」「PartIV  現代の世界へ 第二次世界大戦後のパラダイム・シフト」の4部で構成される。

 同書には、レンブラントの才能を開花させたファン・アイレンブルフ、セザンヌの市場価値をつくりあげたアンブロワーズ・ヴォラール、ピカソをはじめとするキュビストを発見し支えたダニエル=アンリ・カーンワイラー、モディリアーニの水先案内人のポール・ギヨームといった数々の画商が登場。「画商」という存在が美術史にどれほどの影響を及ぼしてきたのかを詳細に迫った内容となる。

 美術界でこれまで顧みられる機会が少なかった「画商」の存在にフォーカスし、美術史の新たな一面を照射した本書に期待が高まる。