《真珠の耳飾りの女》(1662-1665頃)をはじめ、《牛乳を注ぐ女》(1660頃)などの作品で広く知られる17世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメール(1632〜1675)。その日本美術展史上最大規模の展覧会が2018年10月5日より東京・上野の森美術館で開催される。
本展は、現存する作品が35点とも言われているフェルメール作品のうち8点が来日することで話題を集めており、これまでに《牛乳を注ぐ女》、《マルタとマリアの家のキリスト》(1654〜56頃)、《手紙を書く婦人と召使い》(1670〜71頃)、そして日本初公開となる《ワイングラス》(1661〜62頃)の4点の出品が明らかにされていた。
そして今回、残る4つの作品が発表された。《手紙を書く女》(1665頃)、《リュートを調弦する女》(1662〜63頃)、《真珠の首飾りの女》(1662〜65頃)、そして日本初公開の《赤い帽子の娘》(1665〜66頃)が出品されることが決定した。
これら全8作品はすべて同じ部屋に展示され、「フェルメール・ルーム」として展覧会の中核を担う。また、フェルメール後期の作品である《恋文》(1669〜70頃)は大阪展でのみ展示。大阪展での展示数は今後発表されるという。
今回の展覧会について、フェルメール研究の第一人者で総合監修を務める元ワシントン・ナショナル・ギャラリー学芸員のアーサー・K・ウィーロックJr.は「フェルメールの傑作がこれほどまでに一度に集められることは滅多にありません。本展覧会で展示される作品はキャリアのほぼ全段階から選ばれており、彼の芸術表現の幅広さを示します」とコメントしている。
なお、本展の構成は「第1章 オランダ人との出会い:肖像画」「第2章 遠い昔の物語:神話画と宗教画」「第3章 戸外の画家たち:風景画」「第4章 命なきものの美:静物画」「第5章 日々の生活:風俗画」「第6章 光と影:フェルメール」の全6章。フェルメールを含め、ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンらオランダ同時代の絵画約50点を通して、17世紀オランダ絵画の広がりと独創性を紹介するものとなっている。
アムステルダム国立美術館をはじめ、ワシントン・ナショナル・ギャラリーやメトロポリタン美術館からフェルメールの名作が揃う本展。2008年に東京都美術館で開催された「フェルメール展」(当時は7点を展示)では93万人という来場者数を記録しただけに、展示数でそれを上回る本展には大きな注目が集まる。