原良介は1975年神奈川県生まれ。2002年に多摩美術大学大学院を修了後、「project N 36 原良介」 (東京オペラシティアートギャラリー、2009)や「原良介ー絵画への小径ー」(茅ヶ崎市美術館、2012)などの個展をはじめ、「コレクターとアーティスト vol.1」 (寺田倉庫 T-Art Gallery、2015)など様々なグループ展に参加してきた。
自然物や人物を主たるモチーフとして描いてきた原。しかし、力強いストロークの一層塗りで描かれた絵画には、一つの画面に同じ月が三つ浮かんでいたりと、独自の世界観が広がっている。
臨済宗大本山円覚寺山内の塔頭の一つである龍隠庵で開催される本展では、これまでと同様に日本独自の自然観を作品の根本に据えながら、先に色を決定してからモチーフを描き、空間として構築するという新たな試みの成果を発表。原は今回の作品を通じて、「まず色とそこに流れる時間が浮き出てくるような絵画にしたかった」としている。
原の新たな試みが、名刹の空間とどのように溶け込むのか、注目したい。