ヤン・フードン(揚福東)は1971年中国・北京生まれのアーティスト。現在は上海を拠点に活動しており、中国におけるもっとも重要な現代フィルムアーティストとされる。
フードンはビデオ、映画、インスタレーション、写真など多岐にわたる作品で、中国および西洋の伝統と現代の狭間の美しい異世界をつくり出す。鑑賞者を作品世界に没頭させるマルチスクリーンでの表現と、沈黙に徹し、振り付け的身振りを行う現実味を欠いた登場人物が特徴だ。
本展「YANG FUDONG THE COLOURED SKY: NEW WOMEN II」は、パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンのアーティスティックディレクションのもと、所蔵作品のうち未公開のものを世界中のエスパスにて公開するプロジェクト「Hors-Les-Murs(壁を越えて)」の一環として企画されたもの。
会場で上映される作品《The Coloured Sky:New WomenⅡ》は、35mmモノクロフィルムでの制作が基本となるフードンにとって初のカラー作品。5チャンネル・ビデオ・インスタレーションとして制作された本作品は、鮮烈な色彩でフードンの表現の新たな展開を期待させる。
人工的に作られた浜辺のセットを舞台に、時代を感じさせる水着の女性5人が蠱惑的なゲームに興じる姿をスローモーションで撮影。5つのスクリーンには太陽、浜辺、浜辺、遊び、食べ物、西洋美術への言及、そして馬と雄鹿一頭ずつが入れ替わりながら登場する。動物たちは片方が剥製、片方が本物であり、中国の故事「鹿を指して馬と為す」の引用。中国と西洋の伝統や文化を作品に取り込むフードン作品の特徴を示している。