鈴木信春は江戸時代中期に活躍した浮世絵師。細身で可憐、繊細な表情の美人画で人気を博し、錦絵誕生に決定的な役割を果たすとともに、後の浮世絵の発展に大きな影響を及ぼした。
主要作品の多くが海外にある春信の作品。本展では世界最高の春信コレクションを誇るボストン美術館から《見立玉虫 屋島の合戦》(1766-67頃)をはじめとする作品の数々が里帰り、千葉市美術館のほか、名古屋、大阪、福岡の全国4会場で展示される。浮世絵界へのデビューから錦絵の誕生を経て、美人画の黄金時代を築きあげた軌跡を7つのセクションから楽しむことができるこの展覧会。
出品作の多くは長く展示されることがなかったため、良好な保存状態が保たれており、当時の美しさを感じることができる。さらに、今回出品される作品の約8割がボストン美術館に収蔵されて以来、初めての里帰りとなる。これらの作品のなかには世界に1点しか確認されていないものもあり貴重な機会になることだろう。