奈良美智は1959年青森県生まれ。鑑賞者を見つめ返すようなまなざしが特徴的な人物像を中心に描き、その作品は美術の領域にとどまることなく、国内外で広く知られている。
今回の個展は、奈良が学生時代を過ごし、卒業後も度々訪れては制作を行っていたという愛知県・長久手の丘陵にほど近い、豊田市美術館で開催される。87年に大学院を卒業してからちょうど30年目の今年開催される本展を、奈良は「遅すぎる卒業制作のような気がする」という。
本展では、1987年の初期作品から2017年の最新作まで、絵画やドローイング、FRPや木彫などの立体作品、大規模な小屋のインスタレーションなど、計100点余りを展示。代表作《The Girl with the Knife in Her Hand》(1991)や、日本初公開の《Midnight Truth》(2017)などの国外の美術館に所蔵される作品も多数含まれる。
また、奈良が収集したレコード、書籍、切り抜き写真、人形や雑貨など、美術を志す以前からその感性を育んできた様々なものも合わせて展示され、創作の背景をうかがい知ることもできる。
奈良はステイトメントのなかで、本展について「これから作家としての自信と誇りを持って生きていくための決意表明でもある」と述べている。「どんな運命になろうとも、ずっと」の意を表す展覧会タイトル「for better or worse」のとおり、誓いを込めた展覧会となるだろう。