5月25日に77歳の誕生日を迎えた「アラーキー」こと写真家・荒木経惟。今年は「東京墓情 荒木経惟×ギメ東洋美術館」(6月22日〜7月23日、シャネル・ネクサス・ホール)をはじめ、「写狂老人A」(7月8日〜9月3日、東京オペラシティ アートギャラリー)や「センチメンタルな旅、1971-2017-」(7月25日〜9月24日、東京都写真美術館)などの大型個展を相次いで開催、精力的な活動を続けている。
そんななか、これまで20回以上の個展を開催してきたタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムで始まったのが個展「写狂老人A 17.5.25で77齢 後期高齢写」だ。
今は年寄りの時代なんだからさ、今どき、「年寄りに見られたくなく」なんて加齢に抵抗するヤツはダメなワケ。今こそ“老いていく”というその変化を、自信を持って発表していくべきなんだよ。年を取らなきゃわからないことってたくさんあるし、人間としてキャリアを積んでんだから、若いヤツより老人のほうが魅力があって当然(笑)プレスリリースより
荒木がこう語る通り、本展のテーマは「老い」。荒木はこれまでも自身の加齢を肯定的に作品に取り込み、その作品世界を絶えず豊かなものにしてきた。前立腺癌、網膜中心動脈閉塞症による右眼の視力の喪失など、大病と向き合い、克服してきた荒木は、「後期高齢写」と名付けられた本シリーズを通じても、自身の身体や生活に及ぶ変化を日々写真を撮影するというエネルギーに転換し、膨大な数の新作を生み出した。
カラー作品とモノクローム作品、合わせて830点以上に及ぶ膨大な作品を通じて、一層濃密さを増したアラーキーのエロスとタナトスを体感したい。