画家である父の影響からか、10代の初め頃から油絵や彫刻を制作していたアルベルト・ジャコメッティ。現在では、20世紀を代表する偉大な彫刻家の一人に数えられる。日本でのジャコメッティ展としては11年ぶりとなる本展は、3大ジャコメッティ・コレクションの一つであるマルグリット&エメ・マーグ財団美術館の大きな協力を得て開催される。
本展では、シュルレアリスムなどに影響を受けた第二次世界大戦前の歩みから、わずか数センチの小さな作品、そして細長く引き伸ばされた人物像まで、それぞれの活動時期を代表する作品がそろえられている。
ジャコメッティは、日本人哲学者の矢内原伊作(1918〜1989)をモデルとしたこともあり、本展では、そうしたモデルとの関係やアトリエの様子を伝える素描、記録写真も展示される。
また、大きな見どころの一つとして、チェース・マンハッタン銀行の依頼で制作した大作《歩く男Ⅰ》《女性立像Ⅱ》《大きな頭部》の3作が登場する。これらは銀行の広場に展示することはかなわなかったが、最晩年になっても挑戦を続けたジャコメッティの姿を垣間見ることができる。
総展示数、彫刻約50点、絵画約5点、素描と版画約80点。国内外から集められた、選りすぐりの作品が出品される。