東京・渋谷にオープンしたNANZUKAで、戦後日本の少女文化を象徴する「きいちのぬりえ」の生みの親、蔦谷喜一(1914〜2005)の個展「蔦谷喜一個展 ~曽田コレクション~」が開催される。会期は10月24日〜11月28日。
少女文化に重要な足跡
蔦谷喜一は1914年、東京・築地の紙問屋に生まれた。高畠華宵や山川秀峰らの作品に影響を受け、私立美術学校「川端画学校」の日本画科で学んだのち、1940年に「フジヲ」のペンネームでぬりえの制作を開始。戦後、1947年から少女をモチーフとした「きいちのぬりえ」が駄菓子屋などで販売され、娯楽の少なかった当時の日本で爆発的な人気を獲得した。

丸みを帯びた顔に大きな瞳、三頭身ほどにデフォルメされた身体と、明快な輪郭線。蔦谷が生み出した少女像は、従来の抒情画とは異なる独自の造形を確立し、戦後日本の少女文化に重要な足跡を残した。
1960年代以降、テレビの普及やマンガ、アニメなどの台頭によってぬりえの人気は下火となったが、74年には長谷川義太郎が手がけた「文化屋雑貨店」で関連グッズが発売。78年には資生堂ザ・ギンザで「きいちのぬりえ展」が開催されるなど、リバイバルブームが起こった。
いっぽう、美術史的な観点から蔦谷の作品が再評価される契機となったのが、2002年にパリのカルティエ現代美術財団で開催された、村上隆キュレーションによる「Coloriage(ぬりえ)」展だった。

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