諸橋近代美術館でアートと「ととのう」展覧会。「ととのう展 ~ヘルスケアにつながる美術館~」が開催【2/3ページ】

 展覧会はイントロダクションと3章で構成。イントロダクションは、流行語にもなった「ととのう」の概念を紹介するとともに、「ととのう」鑑賞体験のための鑑賞前の脳と体のエクササイズを紹介。眼の簡単なストレッチや頭をやわらかくするクイズ体験、展示室内の目安歩数や消費カロリーの掲示など、ヘルスケア発想での美術館体験を提案する。

 第1章「博物館浴で『ととのう』」では、近年注目が高まる「博物館浴®」(博物館の持つ癒し効果を人々の健康増進・疾病予防に活用する活動)研究の科学的な実証実験の方法やその結果を紹介。

 第2章「画家の感じた印象に『ととのう』」では、印象派をはじめとした戸外制作の画家たちの表現を時代背景からひも解く。19世紀以降の急速な近代化とともに、多くの芸術家が都市部から自然豊かな田舎町に出向き、戸外制作を実施。その背景には近代化の象徴たる鉄道網の発達やツーリズムの発展による余暇活動の充実と自然への渇望があった。本章では画家たちが自然に魅了され、戸外制作に至った経緯を紹介するとともに、自然を眼前に感じた印象を、画家の「ととのった」瞬間と読み解き、画家の「ととのい」を追体験する。

 第3章「天国で『ととのう』」では、ダリが描いたダンテ『神曲』天国篇の挿絵版画を引用し、ダンテやダリが想像した天国世界を紹介。マッサージや温泉で癒された時に体験を「ごくらく」や「てんごく」と表現するように、究極の至福を芸術家がどのように夢想したのかをたどる。

編集部

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