リニューアルオープンから5年目を迎える京都市京セラ美術館。その2024年度の展覧会スケジュールが発表された。
新館 東山キューブ
まず、現代美術を中心とする展示空間・新館 東山キューブでは、京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」が9月1日まで開催中。同スペースと本館 北回廊1階を会場に、同館リニューアル後初めてとなる大型ファッション展「Gucci Cosmos(グッチ・コスモス)」が10月1日〜12月1日の会期で行われる。
本展は、イタリアを代表するラグジュアリーファッションブランド・グッチによる大規模な世界巡回展であり、上海、ロンドンに続き、同館を舞台に開催。同ブランドの100年を超える歴史のなかでも、とくにアイコニックなデザインを世界中から集め、没入型インスタレーションとして展開していく。また、京都そして日本特有の文化に共鳴するストーリーやエレメントにもスポットライトを当てるという。
新館 東山キューブでは、写真家・映画監督の蜷川実花による、関西では初めてとなる美術館での大型個展が2025年1月11日〜3月30日の会期で開催予定。東京・虎ノ門のTOKYO NODE GALLERYで没入型展覧会を開催しており、また今年青森の弘前れんが倉庫美術館でも個展開催を予定している蜷川。今回の京都展では、大型の映像インスタレーションを含む多様な手法で表現された作品群が互いに関連し合い、暗闇から鮮烈な色彩まで様々な表情を持ち、静かに鑑賞者の感情を揺さぶる。
本館
3月20日〜7月7日、東京・上野の国立西洋美術館で開催された「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展─美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」が本館 北回廊1階と南回廊1階で巡回開催。4月12日より年代を問わず親しまれてきたテレビ番組とジブリ作品を紹介する「金曜ロードショーとジブリ展」(〜6月29日、本館 北回廊2階)、4月13日よりKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024のプログラムとして川田喜久治「見えない地図」、川内倫子「Cui Cui + as it is」、潮田登久子「冷蔵庫+マイハズバンド」(〜5月12日、本館 南回廊2階)が始まる。
7月には「奥村厚一 光の風景画家」展(7月19日〜9月8日)が本館 北回廊1階で予定。10月には京都市立芸術大学の京都駅東部エリアへの移転を記念し、京都市立芸術大学ゆかりの日本画家を取り上げる特別展「巨匠たちの学び舎 日本画の名作はこうして生まれた」(前期10月11日〜11月17日、後期11月19日〜12月22日)が本館 南回廊1階で行われる。本展では、大学の前身である京都府画学校や美術工芸学校、絵画専門学校など近代における歩みを資料によって振り返りながら、それら学び舎が育んだ日本画の名作が紹介される。
そのほか、12月21日〜2025年1月18日の会期で日本最大規模の総合公募展「日展」の京都展が本館 北回廊1・2階、南回廊2階、光の広間を会場に開催。今年10月より東京の国立西洋美術館で開催される「モネ 睡蓮のとき」展は、2025年3月7日〜6月8日の会期で本館 南回廊・北回廊1階で巡回開催される。
コレクションルーム
コレクションルームでは、竹内栖鳳、上村松園、木島櫻谷など京都を代表する人気の名作紹介に加え、テーマ特集展示も展開する。
夏期(7月19日〜9月27日)は特集「女性が描く女性たち」が行われ、京都画壇で活躍した女性画家の画業や彼女たちの見た美しい女性像を探る。冬期(2025年1月10日〜2月24日)は、「世界が見惚れた京都のやきもの〜明治の神業(かみわざ)」を特集し、美しい釉薬や上品で精緻な浮彫が施された三代清風與平の器を中心に、初代宮川香山、初代伊東陶山らによる明治・京都が生んだ卓越した美と技術の粋が紹介される。
ザ・トライアングル
北西エントランス地下1階にある、新進作家の育成・支援の機会の創出を目的に設立された観覧料無料のザ・トライアングルでは、今年度下記の4組のアーティストを取り上げる。
都市や郊外の均質化した景色から、その地域を特徴づける要素を題材に、伝統的なフレスコ画の技法を応用した作品を制作してきた川田知志(7月16日〜10月6日)、山田周平、小池一馬、神馬啓佑という個性的な3作家の協働により、独特なグルーブ感を得て現代的なテーマに取り組むMIKADO2(10月19日〜12月22日)、行く先々の土地で土を掘り、地域の歴史と地層を学び、自作の土窯を用いて作品を制作し続ける坂本森海(2025年1月11日〜3月16日)、屠畜や石油の採掘、水蒸気の循環、毛織物産業など事象やシステムをモチーフとし、等身大の装置を用いたパフォーマンスを発表してきた迎英里子(2025年3月29日〜6月1日)だ。