オーストラリア最大の現代美術国際展である第24回シドニー・ビエンナーレが、3月9日〜6月10日の会期で開催される。
昨年、50周年を迎えた同ビエンナーレ。今回は、コスミン・コスティナシュとインティ・ゲレロを芸術監督に迎え、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館、アートスペース、オーストラリア現代美術館に加え、初めてシドニー大学のチャウ・チャク・ウィング美術館、UNSWギャラリー、ホワイトベイ発電所を会場に開催される。
今年は「Ten Thousand Suns」をテーマに、オーストラリア、インドネシア、ブラジル、ウクライナ、アメリカ、イギリス、メキシコ、ニュージーランド、インド、日本を含む47ヶ国から88組のアーティストとコレクティブが参加。「西洋の宿命論的な終末論に異議を唱え、喜びのうちに生きる可能性のある未来について、希望に満ちた展望を提示する」(プレスリリースより)という。
芸術監督のコスティナシュとゲレロは声明文で、今年のビエンナーレについて次のように述べている。「『Ten Thousand Suns』は、つねに太陽の下で世界を織りなしてきた、多様な視点、宇宙論、生き方を認めることから出発する。太陽の多義性は曖昧なイメージをもたらす。灼熱の世界を想起させる。しかし同時に、文化の多様性が肯定され、先住民の宇宙観が前面に押し出され、植民地的抑圧を乗り越えた文脈における抵抗のかたちとしてのカーニバルの喜びも伝えている」。
「第24回シドニー・ビエンナーレは、植民地支配と資本主義的搾取に由来する深い生態学的危機を認識しながらも、黙示録的な未来像に譲歩することを拒否し、このような様々な意味の層を扱うものだ。可能であるばかりでなく、喜びと豊かさのなかで生きるために必要な未来をめぐる集団の可能性を肯定する、太陽と輝きに満ちた抵抗のかたちを代わりに提案する」。
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館では、オーストラリアの文化や政治に対する風刺、口承やイメージに基づく歴史づくりの伝統の探求で知られるゴードン・フーキー、日本のLGBTQIA+コミュニティにおける重要なアーティスト・円奴などが紹介。オーストラリア現代美術館では、クィアの物語と、エイズ蔓延後のコミュニティの回復力を探求する作品、チャウ・チャク・ウィング美術館では、1999年にエイズ関連の病気で他界した中国系アメリカ人の画家マーティン・ウォンや、アートを通して民族の伝統的な刺青のパターンを記録するインドのバイガ族出身のアーティスト、マンガラ・バイ・マラヴィらの作品が展示される。
また、3月8日にホワイトベイ発電所で開催されるオープニング・ナイト・コンサート「Lights On」を皮切りに、様々なパブリック・プログラムも展開。会期中には、誰もが楽しめる無料のアート・ツアーが毎日開催されるほか、学生専用のワークショップ、障害者アート団体や実践者による3つのファミリー・デー、コンテンポラリー・ミュージック・ナイトなどが定期的に開催される。