金沢21世紀美術館が、同館の今年のテーマである「アート× 新しいテクノロジー」にあわせ、「特別展示:池田亮司」を開催する。会期は11月18日~2024年5月12日。
池田亮司は1966年岐阜県生まれ、パリおよび京都府在住。電子音楽の作曲を起点としながら体験としてのアートを提示する作曲家/アーティストであり、音やイメージ、物質、物理現象、数学的概念などの様々な要素の精緻な構成を用いて、見る者/聞く者の存在を包みこむライブ・パフォーマンス、インスタレーションを発表している。2000年代初頭からは自然科学領域のビッグデータを創造的に扱うことにより、この世界を新たな視点で認識するための表現を追求してきた。
本展では、未発表を含む映像作品23点から構成される新作インスタレーション《data.gram [nº6]》を展示する。「data.gram」は、池田による大規模なオーディオビジュアルインスタレーション「data-verse」三部作(2019-2020) を再構築した新シリーズだ。
それぞれの映像作品は、ミリメートル以下のピクセルで非常に精緻に描写され、全体は管弦楽アンサンブルのような手法で編成されているという。CERN(欧州原子核研究機構)、NASA、ヒトゲノム計画など、様々な研究のオープンソースから収集された膨大な自然科学データを創造的に再構成することによって、素粒子から観測可能な宇宙の周縁まで、私たちの世界における目に見えるものと見えないものの間を横断する自然界のあらゆるスケールの世界を顕在化させようとする試みだ。ミクロな自然の世界、人間をとりまく世界、そしてマクロな自然の世界という三つの異なるスケールの世界を描く《data.gram [nº6]》に注目したい。