ジョージェ・オズボルトは、1967年ユーゴスラビア生まれ。現在は、ロンドンを拠点に制作活動を行っている。これまで、世界各地の様々な芸術文化や伝統、宗教などの引用や擬態を用いながら、それらを文化的背景から切り離し、歴史や文化的地図を自由に破壊する作品を多数発表してきた。
今回の個展では、ペインティングのほかに2つの新作シリーズを展示する。1つ目は、ノーム(地の精)を模した立体。これらは、ユーゴスラビア解体を経験した故国喪失者であるオズボルトが、故郷セルビアで制作したものだ。2つ目は、手のひらの小宇宙とも評される日本の根付に着想を得た彫刻作品。実際に日本の骨董市などで流通している根付を巨大な彫刻作品へと変形させ、鮮やかな色合いで表現した。
国境を超えて侵攻するノームたちと、時代を超えて展示空間へと姿を表す根付彫刻。時間と空間、二つの軸がクロスオーバーするオズボルトの試みが展開される。