デザイナーの宮城壮太郎からシャネル、皇室の名品まで。連休に見たい展覧会ベスト6

今週に開幕する/閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

展示風景より、伊藤若冲《動植綵絵》(江戸時代、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)

他者の旅を手がかりに、旅を再考する。「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」(東京都庭園美術館)

展示風景より、「アール・デコの旅風景―カッサンドル」 左からカッサンドル《ワゴン=リ》、《ノール・エクスプレス》、《エトワール・デュ・ノール》、《シュマン・ドゥ・フェール・デュ・ノール》

 他者の旅を手がかりに「旅」そのものを再考する展覧会「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」が9月23日に東京・港区にある東京都庭園美術館で開幕した。

 東京都庭園美術館は、1933年に建設されたアール・デコ様式の旧朝香宮邸本館建築がもととなっていることで知られている。本展は、行動制限が強いられたコロナ禍において、人々の旅に対して高まった意欲や想いを汲み取り、朝香宮夫妻のパリ旅行や鉄道関連のコレクション、さらに現代アーティストによる旅の風景を追体験することで、「旅とはいったいなんなのか」について再考するものだ。

 参加アーティストは相川勝、栗田宏一、さわひらき、福田尚代、宮永愛子、evala、髙田賢三、カッサンドルほか。レポートはこちらから。

会期:2022年9月23日〜11月27日
会場:東京都庭園美術館 本館+新館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(10月10日は開館)、10月11日
料金:一般 1400円 / 大学生(専修・各種専門学校含む) 1120円 / 中・高校生、65歳以上 700円

日常に溶け込むデザインの仕事。「宮城壮太郎展──使えるもの、美しいもの」(世田谷美術館)

展示風景より

 建築やインテリア、日用品からサイン計画、デザインコンサルタントまで幅広くデザインに携わり、2011年に60歳という若さでこの世を去ったデザイナー・宮城壮太郎。「デザインに何ができるか」を問い続けた、宮城の信念ある仕事を紹介する回顧展「宮城壮太郎展──使えるもの、美しいもの」が世田谷美術館で行われている。

 本展は全4章に、プロローグ、エピローグを含むかたちで構成。日用品、文房具、工業用電気製品からホテルのサイン計画に至る、宮城の幅広い仕事を検証し、現代生活におけるデザインの可能性を探るものだ。レポートはこちら

会期:2022年9月17日〜11月13日
会場:世田谷美術館 1階展示室
住所:世田谷区砧公園1-2
電話番号:03-3415-6011 
開館時間:10:00~18:00 ※入場は17:30まで
休館日:月(ただし、10月10日は開館、10月11日は閉館)
料金:一般 1200円 / 65歳以上 1000円 / 大高生 800円 / 中小生 500円

リゾーム、あるいは自叙伝としてのインスタレーション。ラシード・ジョンソン「Plateaus」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)

ラシード・ジョンソン《Plateaus》(2014) エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2022) 
Courtesy of Fondation Louis Vuitton

 ラシード・ジョンソンは1977年生まれのアメリカ人アーティスト。シカゴ美術館附属美術大学で写真を学び、2001年に自身初の写真作品シリーズが、「ポスト・ブラック」と呼ばれるポスト公民権運動世代の一翼を担うものとして高い評判を得た。ポスト・ブラックは、たんなる「黒人アーティスト」として一括りにされることを拒み、自らのアイデンティティの複雑な再定義を要求するクリエイターたちで構成されている。

 本展は、ルイ・ヴィトンによる財団の美術館、フォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵している選りすぐりのコレクションを世界的に紹介する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの枠組みのなかで開催されているもの。2014年に制作された《Plateaus》を中心に、「ポスト・ブラック」の重要アーティストのひとり、ジョンソンを日本で初めて紹介する。

会期:2022年4月27日〜9月25日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F
電話番号:0120-00-1854 
開館時間:11:00〜19:00

シャネルの一貫した思想が反映されたコレクションが一堂に。「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」(三菱一号館美術館)

展示風景より

 日本では32年ぶりとなるガブリエル・シャネル(1883〜1971)の回顧展「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」が、東京・丸の内の三菱一号館美術館で9月25日まで開催されている。

 ファッションの歴史において、もっとも影響力の大きいデザイナーとして知られるシャネル。1920年代から70年代初頭にかけて、シャネルがファッションの世界にもたらした功績をたどる回顧展が本展となる。なお、本展はガリエラ宮パリ市立モード美術館で開催された「Gabrielle Chanel. Manifeste de mode」展を日本向けに再構成した国際巡回展だ。レポートはこちら

会期:2022年6月18日〜9月25日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金と会期最終週平日、第2水は21:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2300円 / 高校・大学生 1200円 / 小・中学生 無料

日本画で「水」はどう描かれてきたのか? 特別展「水のかたち ―《源平合戦図》から千住博の『滝』まで―」 特集展示:日本画に描かれた源平の世界(山種美術館)

展示風景より

 海に囲まれた島国・日本。そんな日本においてどのように「水」が表現されてきたのか、その多様性を紹介する展覧会「水のかたち―《源平合戦図》から千住博の『滝』まで―」が東京・広尾の山種美術館で開催中だ。会期は9月25日まで。

 日本において水は身近な存在であり、古来、名所絵や山水画、物語絵など、様々な主題のなかで描かれてきた。近代以降の日本画においても、海や湖、川や滝を題材とした風景画から、水辺の場面を描く歴史画まで、水が主要なモチーフとなった作品は、時代やジャンルを問わず幅広く見いだすことができる。

 本展は、奥村土牛の《鳴門》(1959)から始まり、ゴッホが模写したことでも知られる歌川広重の名所絵のひとつ《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》(1857)、中国の幽玄な山水の景を水墨で描き出した松尾敏男の代表作《連山流水譜》(1982)、画家の代名詞にもなっている千住博の「滝」シリーズ、高価な群青色の岩絵具をふんだんに使って海と飛び魚の群れをダイナミックに描いた川端龍子の《黒潮》(1932)、そして海辺を舞台とした筆者不明の六曲一双屏風《源平合戦図》(17世紀)まで、水を印象的に描き出した作品が時代を超えて並んでいる。レポートはこちら

会期:2022年7月9日〜9月25日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1300円 / 中学生以下無料(付添者の同伴が必要) ※夏の学割:大学生・高校生500円(本展に限り、特別に入館料が通常1000円のところ半額)

伊藤若冲の国宝《動植綵絵》10幅が公開中。特別展「日本美術をひも解くー皇室、美の玉手箱」 後期展示(東京藝術大学大学美術館)

展示風景より、伊藤若冲《動植綵絵》(江戸時代、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)

 東京藝術大学大学美術館で、宮内庁三の丸尚蔵館が収蔵する皇室の珠玉の名品と、東京藝術大学のコレクションを通じて、日本美術の美に迫る特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」の後期展示が9月25日まで開催中だ。

 現在、新施設の移行準備のために休館している宮内庁三の丸尚蔵館は、1989年に当時の天皇(現在の上皇陛下)と皇太后(香淳皇后)が、昭和天皇の遺品を国に寄贈したことに始まる。93年に皇居東御苑内に開館し、皇室に代々受け継がれた絵画・書・工芸品などの美術品類に加え、旧秩父宮家の遺贈品、香淳皇后の遺品、また旧高松宮家の遺贈品、三笠宮家の寄贈品など、約9800点の美術品類を収蔵している。

 本展は、明治以降、体系的な日本美術史が編まれる場であった東京藝術大学の大学美術館のコレクションと三の丸尚蔵館のコレクションをあわせて、日本美術をわかりやすく紹介することを意図したものだ。レポートはこちら

会期:2022年8月30日〜9月25日(一部作品は9月6日~9月25日)
会場:東京藝術大学大学美術館
住所:東京都台東区上野公園12-8
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00(9月金土〜19:30) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2000円 / 高・大学生 1200円 / 中学生以下無料

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