デザイン大国として知られるデンマーク。同国のデザイナーのなかでも、美麗なイスをデザインしたことで知られているのがフィン・ユール(1912〜1989)だ。その魅力に迫る展覧会「フィン・ユールとデンマークの椅子」が、東京都美術館で開催される。会期は7月23日~10月9日。
ユールのイスは優雅な曲線を特徴とし、「彫刻のようなイス」とも評されている。身体を抽象化したようなそのフォルムは、建築や美術、あるいは日用品と濃密な関係を築くことを目指して生まれたものだ。本展は、ユールがデザインしたそのイスの魅力に迫るだけでなく、デンマークの家具デザインの歴史と変遷をたどり、その豊かな作例が誕生した背景を探る。
展示品の多くは北海道東川町が所蔵する織田コレクションのもの。椅子研究者である織田憲嗣が研究資料として長年にわたり収集してきた20世紀の家具、日用品のコレクションは、世界的にも高く評価されてきた。本展は、この織田コレクションを東京でまとめて紹介する初の機会ともなり、バラエティに富む数々のイスが一堂に会する。
日常を支えるもっとも身近な家具であるイスにあらためて光を当てる展覧会。見るだけでなく、実際にイスに座ることができる空間も用意され、デザインを身体で体感する貴重な経験となりそうだ。