1972年に竣工した「中銀カプセルタワービル」が、建設から50年を経て、ついに解体されることとなった。解体は4月12日に始まり、年内に完了する予定だ。
同ビルは建築家・黒川紀章(1934〜2007)が手がけた世界初の実用化されたカプセル型集合住宅で、「メタボリズム建築」を代表する作品。建物はA棟とB棟の2本のタワーで構成されており、各タワーに合計140のカプセルユニットが取り付けられた独特の構造となっている。
中銀カプセルタワービルをめぐっては、老朽化が原因で昨年ビルの管理組合が敷地売却を決定。住人の退去も進められ、解体の具体的なスケジュールを待つのみの状況となっていた。
保存派オーナーと住人が中心となった「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」は、敷地の買受企業とのあいだで複数カプセルの取得を合意。代表の前田達之は昨年12月の時点でカプセルを美術館に寄贈したいと話しており、今後の保存・活用の行方に注目が集まっている。
いっぽう、「旧都城市民会館」の3Dデジタルアーカイブプロジェクトを手がけた株式会社gluonは、中銀カプセルタワービルを3次元スキャンで記録に残すプロジェクトを始動。解体された後もその記録を後世に残すことを目指す。