大阪中之島美術館のオープニングから松澤宥まで。今週末に見たい展覧会ベスト4

今週開幕した展覧会と来週にかけて閉幕する展覧会のなかから、とくに注目したい4つをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「超コレクション展 」(大阪中之島美術館)展示風景より。左から吉原治良《White Circle on Red》(1963)、《作品》、《作品》(ともに1965)

ついに開館、膨大なコレクションが一堂に。「Hello! Super Collection 超コレクション展 ─99のものがたり─」(大阪中之島美術館)

展示風景より、手前がヘリット・ルートフェルト「アームチェア」シリーズ

 2月2日にオープンした大阪中之島美術館のこけら落としとなる展覧会「Hello! Super Collection 超コレクション展  ─99のものがたり─」。これまで同館が収集してきた珠玉のコレクションを紹介する大規模展だ。

 大阪中之島美術館の計画が立ち上がったのは1980年代。1990年に準備室が開設されて以来、じつに30年越しの美術館開館となった。今回のコレクション展は、オープンまでのあいだも連綿と続いてきた同館の作品収集と研究が広く紹介されている。 

 展覧会は「Hello! Super Collector」「Hello! Super Stars」「Hello! Super Visions」の3章構成。同館の礎となった個人コレクションや、大阪を拠点に活動した作家たち、家具をはじめとした生活のなかのデザイン、サントリーポスターコレクションまで、幅広いジャンルの収蔵品が一同に会する。

会期:2022年2月2日〜3月21日
会場:大阪中之島美術館 4、5階展示室
住所:大阪市北区中之島4-3-1
開館時間:10:00〜17:00
休館日:月(3月2日をのぞく)
料金:一般 1500円 / 大学・高校生1100円
※日時指定事前予約優先制

唯一無二の思索をふたたびたどる。「生誕100年 松澤宥」(長野県立美術館)

展示風景より、左から松澤宥《プサイの祭壇》、《プサイ函》(ともに1961)

 長野県立美術館では、長野県下諏訪町出身の美術家・松澤宥(1922〜2006)の生涯と思想に迫る展覧会「生誕100年 松澤宥」が開催されている。

 生涯の大半を長野県の下諏訪で過ごしながらも、独自の概念とコンセプチュアルな表現で存在感を示した松澤。その活動を象徴するコンセプチュアルなパフォーマンスのみならず、初期から成熟期にかけての絵画や立体作品の紹介も含めて、全5章とエピローグでその生涯をたどる。

 パフォーマンスの資料のみならず、近年の調査によって詳細が明らかになった平面作品も多数展示。オブジェも当時の資料をもとに再現されており、当時の松澤が試みていた実験の課程を臨場感をもって追うことができる。

 また、展示の最後には松澤が多くの時間を過ごした自宅にある「プサイの部屋」を会場で再現。その思索が行われた環境を、肌で感じることができるはずだ。

 なお、下諏訪町では同じく松澤の生誕100年にあわせて「松澤宥 生誕100年祭」が町内の各所で開催されている。こちらにも足を伸ばしてみてはいかがだろうか。

会期:2022年2月2日~3月21日
会場:長野県立美術館
住所:長野県長野市箱清水1-4-4 善光寺東隣
電話番号:026-232-0052
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:水(2月2日・23日は開館)、2月24日は休館
料金:一般 800円 / 75歳以上・大学生 600円 / 18歳未満・高校生以下無料

ドローイングとは何かを問う。「Drawings – Plurality 複数性へと向かうドローイング<記号、有機体、機械>」(PARCO MUSIUM TOKYO)

展示風景より、鈴木ヒラクのセクション

 ドローイングを軸にラディカルな実践を繰り広げている3名のアーティスト、鈴木ヒラク、村山悟郎、やんツーによる展覧会「Drawings – Plurality 複数性へと向かうドローイング<記号、有機体、機械>」が、渋谷PARCO 4階にあるPARCO MUSEUM TOKYOで開催されている。

 2000年代以降、西欧ではドローイングの再定義・再評価が進み、たんに下描きや紙への素描という意味を超え、それ自体がコンテンポラリー・ドローイングというアートのジャンルとして成熟しつつあり、日本でも新たなドローイングを表現するアーティストが増えてきている。

 こうした現状を踏まえ、本展には鈴木ヒラク、村山悟郎、そしてやんツーの3名が参加。現代の日本においてラディカルなアプローチでドローイングの可能性に向き合う。

会期:2022年1月21日〜2月7日
会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1
開館時間:11:00〜20:00(21日〜16:00、2月7日〜18:00) ※入場は閉場の30分前まで
休館日:無休 
料金:一般 300円 / 小学生以下無料

廃棄物から現代社会を問う。三島喜美代展(銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM)

三島喜美代 Newspaper

 1950年代より一貫して新聞や雑誌、ダンボール、空き缶など、日常に身近な“情報”を題材に制作を続けてきたアーティスト、三島喜美代。その個展が銀座 蔦屋書店の店内イベントスペースGINZA ATRIUMで開催されている。

 三島は50年代後半から70年頃まで、新聞や雑誌などをコラージュした油彩画やシルクスクリーン作品を制作して注目を集めたが、70年代初めからは情報化時代や大量消費社会に潜む不安感や恐怖感を表現するため、新聞をシルクスクリーンで割れる陶に転写した立体作品を制作。89歳になったいまでも活発な活動を続けている。

 その作品は、日常や旅先の海外で見つけた素材を活用。一見するとゴミのように見えるが、陶器という媒体を通じて不思議な存在感を放ち、情報が大量消費される現代への疑問を投げかける。本展では缶かごやダンボールかご、ボックス、さらにはマルチプル作品など、三島の代表作を展示している。

会期:2022年1月29日~2月8日
会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(イベントスペース)
住所:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6F
電話番号:03-3575-7755
開館時間:11:00〜20:00 ※最終日のみ18:00終了
料金:無料

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