究極の手技に対峙する。「よみがえる正倉院宝物 ―再現模造にみる天平の技―」(サントリー美術館)
聖武天皇ゆかりの品をはじめ、奈良・東大寺の正倉院(宮内庁が管理)に伝わる約9000件もの「正倉院宝物」。その精巧な再現模造の数々を一堂に公開する展覧会「よみがえる正倉院宝物 ―再現模造にみる天平の技―」が、サントリー美術館でスタートした。
756年の聖武天皇の崩御の際、光明皇后が東大寺大仏に献納した聖武天皇ゆかりの宝物が発端となった正倉院宝物。宝物の保存状態は良好であるものの、1300年近くという長い時代を経ているため脆弱であることもまた事実だ。こうした宝物は、明治時代に奈良・東大寺で開催された奈良博覧会を機に再現模造の製作が開始し、以来、人間国宝ら伝統技術保持者の熟練の技と最新の調査・研究成果との融合により、数百点の再現模造が製作されている。
本展では、こうした再現模造品から選りすぐりの逸品約70件以上を展覧。正倉院宝物再現模造の逸品が一堂に展示されるのは、およそ20年ぶりのこととなる。
会期:2022年1月26日~3月27日
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4(東京ミッドタウン ガレリア3F)
電話番号:03-3479-8600
開館時間:10:00~18:00(金土、2月10日、3月20日、3月21日〜20:00) ※いずれも入館は閉館30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:火(3月22日は開館)
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料
芸術家としての楳図かずおに迫る。「楳図かずお大美術展」(東京シティビュー)
数多くのヒット作とともに、その個性的なキャラクターでも知られるマンガ家・楳図かずお。その大規模個展「楳図かずお大美術展」が、六本木ヒルズ森タワー52階にある東京シティビューで始まった。
本展では、『漂流教室』『わたしは真悟』『14歳』といった3の代表作とともに、楳図にとって27年ぶりとなる新作が初公開。4年の期間を費やした新作《ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館》は、マンガではなく原画101点の連作絵画として展示されており、着彩画と鉛筆画の両方を見ることができる。
また、こうした楳図作品のみならず、気鋭のアーティストらも本展に参加している。本展キュレーターの窪田研二がアドバイザー・椹木野衣とともに、エキソニモ、冨安由真、鴻池朋子の3組を招待。それぞれが、楳図の世界をインスタレーションで表現している。
会期:2022年1月28日~3月25日
会場:東京シティビュー
住所:東京都港区六本木6-10-1(六本木ヒルズ森タワー52階)
電話番号:03-6406-6652(東京シティビュー)
開館時間:10:00~22:00(入場は21:30まで)※最新情報は展覧会ウェブサイトにて要確認
料金:一般 2200円 / 65歳以上 1800円 / 学生(高校・大学生) 1500円 / 4歳~中学生 900円 / 4歳未満無料(屋内展望台入館料含む)※事前予約制(日時指定券)。詳細は展覧会ウェブサイトへ
石橋財団コレクションの70年の歴史を振り返る。「はじまりから、いま。1952ー2022 アーティゾン美術館の軌跡—古代美術、印象派、そして現代へ」(アーティゾン美術館の軌跡)
5年間の休館とブリヂストン美術館からの改名を経て、2020年に新たにオープンしたアーティゾン美術館。1952年のブリヂストン美術館開館から70年の歴史をもつアーティゾン美術館の軌跡を紹介する展覧会が、1月29日に開幕する「はじまりから、いま。1952ー2022 アーティゾン美術館の軌跡—古代美術、印象派、そして現代へ」だ。
本展では、古代美術、西洋近代美術、日本近代洋画、20世紀の抽象絵画や現代美術、そして日本東洋古美術など多岐にわたる石橋財団コレクションがいかに形成されていったのか、収集の歴史をさかのぼりながら代表的な作品約170点を展示する。
初公開となる新収蔵作品で、『平治物語』の終盤を全長16メートルにわたって描いた絵巻《平治物語絵巻 常磐巻(ときわのまき)》(重要文化財)や、東洋と西洋が融合した独自の画風を切り開き、戦後のパリ画壇で確固たる地位を確立したザオ・ウーキーの大作《無題》(1982)などが本展の見どころだ。
会期:2022年1月29日~4月10日
会場:アーティゾン美術館
住所:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(2月11日を除く金〜20:00) ※入館はいずれも閉館30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月(2022年3月21日は開館)、3月22日
料金:一般 1200円(ウェブ予約チケット・クレジット決済のみ)1500円(当日チケット・窓口販売) / 大学生・専門学校生・高校生・中学生以下無料(要予約、詳細は公式ウェブサイトへ)
これまでにない春日大社の展覧会。「春日神霊の旅─杉本博司 常陸から大和へ」(金沢文庫)
杉本博司の大作である「江之浦測候所」を運営する公益財団法人小田原文化財団が、神奈川県立金沢文庫、春日大社とともに春日信仰を紹介する特別展「春日神霊の旅─杉本博司 常陸から大和へ」が、1月29日に金沢文庫でスタートする。
春日信仰の造形は、春日山を描いた宮曼荼羅や、鹿を描いた鹿曼荼羅、古神宝などが特徴的なもの。本展では、杉本が蒐集した春日大社の若宮社と文殊菩薩の出現が描かれた唯一の宮曼荼羅《春日若宮曼荼羅》(鎌倉時代)をはじめ、神鹿に乗る春日本地仏の地蔵菩薩立像(鎌倉時代、個人蔵)など、通常の春日大社展では見られないような作品約90件を展示する。
また、展覧会では春日信仰に連なるものとして、杉本博司の《那智滝》や《華厳滝》といった写真作品を、阿弥陀如来像、男神坐像とともに展示。加えて、アーティストの須田悦弘が補作した貴重な作品も見ることができる。
会期:2022年1月29日〜3月21日
会場:神奈川県立金沢文庫
住所:神奈川県横浜市金沢区金沢町142
電話番号:045-701-9069
開館時間:9:00〜16:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(3月21日は開館)、2月24日
料金:800円