最新作とともにその活動を振り返る。「山城知佳子 リフレーミング」(東京都写真美術館)
映像作家/美術家・山城知佳子の公立美術館では初となる個展「山城知佳子 リフレーミング」が今週末まで開催されている。2000年代から、映像・写真を主たるメディアとして、精力的に作家活動を進めてきた山城。生まれ育った沖縄の歴史や地政学的状況と自身との関係に向き合うことを通じて、見過ごされ聞き過ごされてきた声や肉体、魂を伝える作品を手がけてきた。
山城が生み出す映像は、見る者の身体感覚に訴えかけるイメージの豊饒さと詩性、そして同時代を見つめる批評的な視点を絶妙なバランスであわせ持つ。そのため沖縄という特定の地域の問題にとどまらず、より広い文脈での読み込みや解釈に開かれている。
本展では、初公開となる山城の最新作《リフレーミング》を、同館の収蔵作品を中心とした過去の代表作と組み合わせて紹介。たんに時系列に沿って作品の変遷をたどるのではなく、相互に共鳴する主題やモチーフの連なりを、展示室内を回遊しながら巡る構成となる。
会期:2021年8月17日~10月10日
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話:03-3280-0099
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(8月30日、9月20日は開館)、9月21日 ※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
観覧料:一般 700円 / 学生 560円 / 中高生・65歳以上 350円
※オンラインによる日時指定予約を推奨。詳細は公式ウェブサイトへ
総数約2800点の作品と資料を展覧。「和田誠展」(東京オペラシティ アートギャラリー)
たばこ「ハイライト」のデザインや『週刊文春』の表紙イラストレーションで広く知られるイラストレーター、グラフィックデザイナーの和田誠(1936〜2019)。その没後初となる回顧展が、東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。
和田誠は1936年大阪生まれ。多摩美術大学図案科(現・グラフィックデ ザイン学科)を卒業後、広告制作会社ライトパブリシティに入社。68年に独立し、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしてだけでなく、映画監督、エッセイ、作詞・作曲など幅広い分野で活躍した。
本展は、和田誠の仕事の全貌に迫る初めての試み。「似顔絵」「絵本 谷川俊太郎との絵本」「パロディ」「ライトパブリシティの仕事」「装丁―作家との仕事」など、約30のトピックスを軸に、書籍と原画だけで約800点が展示される。加えて、『週刊文春』の表紙は2000号までを一気に展覧するほか、学生時代に制作したポスターや初期に製作したアニメーションなども紹介。多種多様な仕事を通覧する、またとない機会となりそうだ。
会期:2021年10月9日〜12月19日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は18:30まで
休館日:月 料金:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料
百余点の作品でその画業を回顧する。「小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」(東京ステーションギャラリー)
大正から昭和にかけ、京都を中心に活躍した日本画家・小早川秋聲 (こばやかわ・しゅうせい、本名・盈麿[みつまろ]、1885~1974)。その画業を一望する大規模回顧展「小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」が東京ステーションギャラリーで開催される。
小早川は鳥取の寺の住職の長男として生まれ、9歳で京都の東本願寺の衆徒として僧籍に入った。その後、画家になることを志し、日本画家の谷口香嶠(こうきょう)や山元春挙に師事。文展や帝展を中心に出品と入選を重ね、画技を磨いていった。旅を好んだ秋聲は、北海道、山陰、紀州など日本各地を絵に描き、国外では複数回の中国渡航に加え、1922年から23年にかけてアジア、インド、エジプトを経てヨーロッパ十数ヶ国へ遊学。1926年には北米大陸を横断し、日本美術の紹介にも尽力した。
また1931年以降は従軍画家として中国に何度も赴き、数多くの戦争画を残している。本展は、終戦の1年半前に描いた代表作《國之楯》(1944)をはじめ、秋聲の初期の歴史画から、初公開の戦争画、晩年の仏画まで、百余点を展覧するものとなる。
会期:2021年10月9日〜11月28日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485
開館時間:10:00~18:00(金~20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(11月22日は開館)
料金:一般 1100円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料